物損事故の違反点数や免許への影響は?知っておきたい4つのポイント

物損事故の違反点数や免許への影響は?知っておきたい4つのポイント

3、物損事故から人身事故に切り替わった場合の違反点数は?

前述したとおり、交通事故は、物損事故から人身事故に切り替わることがあります。

人身事故を起こしたドライバーは、行政処分・刑事処分の対象です。

人身事故における処分の内容は、物損事故を起こしたドライバーに対するものより重くなります。

物損事故が人身事故に切り替わった場合、ドライバーはどのような処分を受けるのでしょうか。本章で詳しく解説します。

(1)物損事故は人身事故に切り替わることがある

交通事故の被害者が、警察署に「人身事故切り替えの届け出」をした場合、物損事故が人身事故に切り替わります。

物損事故から人身事故に切り替わる理由としては、以下のような例が挙げられます。

軽微な事故で、事故当日は痛みがなかったものの、後日、むち打ちなどの症状があらわれた

 

被害者にケガがあったものの、物損事故として処理していた案件において、示談交渉が難航し、被害者の心証を悪くしてしまった

人身事故への切り替えに関して、「事故日より○○日以内」というように明確な期限が定められているわけではありません。

事故から日にちが立ちすぎている場合は、警察が、人身事故への切り替えを受理しないことも多いようです。

(2)人身事故になった場合の違反点数

物損事故が人身事故に切り替わった場合、ドライバーには違反点数が加算されます。

違反点数の計算方法は物損事故の場合と同じで、基礎点数と付加点数を足して算出します。

① 基礎点数

一般に、人身事故を起こしたドライバーに加算される基礎点数は、「安全運転義務違反」による2点です。

ただし、事故原因などが「特定違反行為」に該当する場合、下記の違反点数が加算されます。

特定違反行為

基礎点数

運転殺人等

危険運転致死等

62点

運転傷害等(3月以上・後遺障害)

危険運転致傷等(3月以上・後遺障害)

55点

運転傷害等(30日以上)

危険運転致傷等(30日以上)

51点

運転傷害等(15日以上)

危険運転致傷等(15日以上)

48点

運転傷害等(15日未満・建造物損壊)

危険運転致傷等(15日未満)

45点

酒酔い運転

麻薬等運転

妨害運転(著しい交通の危険)

救護義務違反(ひき逃げ)

35点

② 付加点数

人身事故を起こしたドライバーに加算される付加点数は、被害の程度と過失割合によって決まります。

被害の程度

過失割合

事故の種類

全治期間

専ら違反者の不注意によるもの

左記以外

軽傷事故

15日未満

3点

2点

15日以上30日未満

6点

4点

重傷事故

30日以上3か月未満

9点

6点

3か月以上または後遺障害

13点

9点

死亡事故

20点

13点

例えば、追突事故により被害者に全治14日間のケガをさせた場合の違反点数は、合計5点となります。詳細は、以下のとおりです。

基礎点数:2点(安全運転義務違反)
付加点数:3点
その他人身事故に切り替わった場合の注意点

人身事故に切り替わった場合、運転免許への影響以外にも、以下のような点に注意が必要です。

刑事処分を科される可能性がある
慰謝料等の人的損害を請求される可能性がある

① 人身事故になった場合には刑事処分を科される可能性も

人身事故を起こしたドライバーには、違反点数の加算や免許停止処分といった行政処分のだけでなく、刑事処分も科されます。 

人身事故を起こしたドライバーに対する刑事処分

罪名

刑事罰

危険運転致死傷罪

死亡

1年以上20年以下の懲役

負傷

15年以下の懲役

過失運転致死傷罪

 

7年以下の懲役もしくは禁錮、

または100万円以下の罰金

② 人身事故になった場合には慰謝料請求される可能性も

人身事故を起こしたドライバーは、被害者に与えた損害を賠償する義務を負います。 

具体的には、下記のような費用を賠償しなければなりません。

ケガの治療費
休業損害
事故により汚損した衣類の損害
介護費用(後遺障害などにより介護が必要になった場合)
逸失利益(事故にあわなければ得られたであろう収入)

上記費用以外にも、事故により被害者が負った精神的苦痛に対する慰謝料を支払う必要があります。

被害者に対する損害賠償金は、自賠責保険から支払ってもらうこともできますが、自賠責保険には、被害の程度に応じた支払限度額が設けられています。

不足分については、加害者本人、又は任意保険に加入している場合には、任意保険から賠償しなければなりません。

4、物損事故を起こしたらまずは弁護士に相談を

物損事故を起こしたら、なるべく早く弁護士に相談しましょう。

(1)相手方との交渉をスムーズに行える

ドライバーが受ける処分の見通しや、人身事故に切り替わった場合の対応方法などについて、弁護士によるアドバイスを受けられます。

また、被害者にケガがあったとしても、交渉次第では、人身事故にせず物損事故として処理できる可能性があります。

こういった場合にも、弁護士に相談することで、交渉をスムーズに進められるでしょう。

(2)「弁護士費用特約」を利用すれば弁護士費用の負担を減らせる

「弁護士に相談する」となると費用面に関して不安に思われる方もいるかと思います。

交通事故の場合、加入している任意保険に「弁護士費用特約」を付帯していれば、これにより弁護士費用をカバーすることが可能です。

事故を起こして不安な思いをしているあなたにとって、弁護士は心強い味方になってくれるでしょう。

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