防災教育のDevelopment, Selection and Gradation

防災教育のDevelopment, Selection and Gradation

防災教育プログラムの「選択」と「配列」

SelectionとGradationはセットで考えればよいでしょう。Selectionは「選択」です。いくつもある防災教育コンテンツの中から、自分たちの学校や地域の実情、災害の種別、活動に配当できる時間、対象者の年齢などの要素を加味して、使うコンテンツをいくつか選択します。ただ、それを無造作に並べるだけでは良い防災教育になりません。導入、展開、強化、定着といった教育の流れに従って選んだコンテンツを並べていきます。それがGradation「配列」です。カタカナでグラデーションと書くと、鮮やかな色が少しずつ濃淡や色彩を変化させていくイメージがあります。美しく配列しないと単なる色の寄せ集めになってしまいます。防災教育も同じです。関連のない活動をただ不規則に体験させるのではなく、それぞれの活動を関連付けながら、意味のある配列にするのです。
1時間だけの単発防災授業でも数時間のまとまった単元でも、まず「選択」が行われます。この段階では、学ばせたい災害と備え、対応、災害を取り巻く自然、社会、人などのテーマに照らし合わせて、自分たちが考える防災教育にふさわしい既存のプログラムを選択します。数時間の配当が可能であれば、そこでは「配列」が必要になります。

ICT時代の防災教育と不易の防災教育

東日本大震災(2011)以降、ICT教育、GIGAスクール構想などの流れに乗って楽しい防災教育教材の開発が始まりました。3Dプリンターを使った地形図作成、説明動画につながるQRコード付きのハザードマップ、タブレットを使ったQ&A、バーチャル立体地図を使ったまち歩きなど、どんどん進化しています。
これらのプログラムは新たな表現方法を用いていますが、コンテンツ自体はアナログで作り上げられてきたものを活用しています。2020年代に入ってコンテンツの「開発」はほぼ完了し、「選択」と「配列」、そしてICT化に差し掛かっているようです。
災害と向き合うには、その災害が発生するメカニズムを知り、正しく備え、災害発生時に正しく対応することが必要です。災害に関心を持つためには、人や社会、自然に関心を持つ必要があります。災害発生時に自分のいのちを守る「狭義の防災教育」だけではなく(もちろん、これはとても大切です)、いろいろなジャンルと掛け合わせた「広義の防災教育」も必要です(私はこれを「防災教育の異種格闘技戦」と呼んでいます)。
災害と向き合う力はICTでのみで獲得するものではありません。従来のアナログ的な防災教育が意味を持っています。表現方法はデジタルであれアナログであれ、防災教育コンテンツには不易な部分があるのです。それは20年間をかけて様々な実践が積み上げてきたものです。
これから防災教育を行う実践者は、単発よりはある程度まとまった時間をとって、既存の使いやすいプログラムを「選択」し「配列」すればよいのです。

関連記事:

配信元

moshimo ストック
moshimo ストック
私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?
私たち moshimo ストックは「もしも」のための防災情報メディア。 最近、地震や台風がよく起きるようになって心配。 防災をしようと調べてみたものの、何から始めればいいの…? 私たちも始めは知ることがたくさんあって、防災ってちょっと難しいな…と思いました。 でも、ちょっと待って下さい! もし何の準備もなく災害にあってしまったら大変です。 防災は少しずつでも大丈夫、「もしも」のための準備を始めませんか?