「電力ひっ迫」はなぜ起こる? 電力不足の理由と家庭でできる省エネ対策

電力不足の問題、今後はどう動く?

「慢性的な日本の電力不足は、根本的な解決策がとられていません」と、和田さん。

「電力需給ひっ迫の問題が、すぐに解消するとは考えにくいですし、戦争などによるエネルギ―価格の高騰も看過できません。調達国とトラブルがあれば、すぐにエネルギー危機に陥ることも考えられますね」

電力不足解消に向けて、最初の一歩を踏み出そう

この冬の厳しい電力供給に対応するため、政府は家庭や企業を対象に節電を要請しています。電力の安定供給に最低限必要な3%は確保できるという見解を示しましたが、決して安心はできないということ。私たちも引き続き、無理のない範囲で節電を心がけていきたいものです。

「あまりに古い家電を使い続けていると、それだけで電力消費量が大きくなっていることもあります。省エネ家電を使用すれば、数年で元をとれるほど光熱費が抑えられることを知っていただきたいですね。まずは自分の使用している家電と、現在の省エネ家電の電気消費量を比較してみることから始めてみてはいかがでしょうか?」

電力需給ひっ迫を回避するために。家庭でできる節電行動

家電の見直し以外にも、私たちにできることはまだまだあるはず。続いては、具体的な省エネ・節電の手法を、暮らしまわりの専門家である藤原千秋さんに聞きました。

冬の節電を考える前に実践したい節電行動は?

まずは藤原さんに、季節を問わずに実践できる節電の手法を教えてもらいましょう。

「最初にしておきたいのは、日々の電気代を把握すること。基本料金と電気の単価を把握し、何日でいくらかかっているのかを可視化すれば、何に電気代がかっているのかも見えてきます。

また、照明も意外と電気代がかるため、省エネできるLEDタイプに交換するのがおすすめ。使っていない場所のあかりを消すのも大事ですが、防犯上、明るくしておく必要がある場合は、周囲の明るさでオン・オフを自動制御するセンサーライトを活用しましょう。また、人の動きで自動制御する人感センサー付き照明をトイレや廊下などに導入すれば、消し忘れを予防できて便利です」

冬も湿度コントロールで体感温度をアップ

続いては、冬ならではの節電方法。まずは湿度コントロールの考え方です。

「湿度を下げることで夏の蒸し暑さを軽減できるように、冬も湿度をコントロールすることで暖かく感じられます。部屋に温湿度計を置き、常日ごろから温度と湿度はチェックしたいですね。加湿機を利用したり、部屋干ししたりすることで、湿度45%〜65%を目安にコントロールしましょう。また、結露を起こさない限り、湿度の高い空気は部屋の上にたまるので、サーキュレーターを真上に当てて空気を循環させると、部屋の温度ムラも同時に解消できます」

冷蔵庫の設定は「弱」に変更

「意外と見落としがちなのが、冷蔵庫内の温度設定です。気温の低い冬は、基本的に“弱”にすると良いでしょう。ただし、冷蔵庫の大きさなどによっても変わるので、説明書で推奨される設定を確認してください」

寒いなら1枚羽織ってみる

「衣類による体温調節は不可欠。暖房を使いながらTシャツ姿……なんて、節電とはほど遠いスタイルです。いつもより1枚多く羽織ったり履いたりすれば、+1〜2℃は補完できるはず。子どもは服装の判断がうまくできないこともあるので、大人がちゃんと見てあげましょう」

ピンポイントで暖かくなる電気毛布のススメ

「この冬、私がイチオシしているのは電気毛布です。製品にもよりますが、電気代は1時間あたり1円程度なので、暖房の温度設定を上げるよりもリーズナブルで効果的。暖房をつけているのに足だけが冷える……なんてときにぴったりで、仕事中など、これを膝掛けのようにして使っています。大きさ的には、掛け敷き両用タイプがおすすめ。洗濯できる製品もいろいろあるので、ぜひお試しください」

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