3、婚外子の認知
(1)認知の効果
認知により、認知した父親との間で父子関係が生じます。父子関係(親子関係)が生じることで、民法上様々な権利や義務が生じます。
①相互扶養関係
親子関係が生じることで、互いに扶養をする義務が生じます。一般的に子供が未成年の間は親が子供を扶養する義務を負いますが、親が年老いたときは、子供が親の扶養義務を負うことになります。
②相続権
親子関係が生じることで、互いに相続権が生じます。通常は子が親の財産を相続する場合が多いといえますが、親より先に子が亡くなった場合で、子に子供がいないときは親が相続人となります。
➂親権
婚外子は、出生と同時に母親が親権者となります。しかし、父親が認知をすると、その後、父親に親権者を変更することや、父親から母親に親権者の変更を求めることができるようになります(ただ、親権者の変更は、常に認められるわけではありません)。
④戸籍への記載
前記のとおり、認知をすることで、子の父親欄に父親の氏名が記載され、父親の戸籍には、認知をした旨が記載されます。
⑤面会交流
親子関係が生じることで、子と父親が面会交流する権利が生じます。面会交流権は、近年、親の権利ではなく、子が親と会う権利と考えられるようになってきています。
(2)認知方法
父親が子を認知する方法には、以下の3つの方法があります。
①任意認知
任意認知は、父親が自らの意思で認知届を提出することです。子がまだ胎児の段階でも認知届を提出することが可能ですが、母親の承諾が必要となります。任意に認知をするのに期限はありませんが、子が成人してから認知をする場合は、子の承諾が必要になります。
②裁判認知(強制認知)
裁判認知は、父親が任意に認知をしない場合に、子供から認知の請求をして、裁判所がこれを認めた場合です。
認知を請求する場合は、まず家庭裁判所において調停を行います。ただ、調停は相手方の同意がない限り成立しません。家庭裁判所での調停が成立しなかった場合は、子は、認知の裁判を起こすことができ、裁判所がDNA鑑定等を行って親子関係の有無を判断し、認知請求を認めるかどうかを判断します。
なお、強制認知の請求は、父親が亡くなった後でも可能ですが、父親が亡くなった後3年を経過すると請求できなくなります。
詳しくは「強制認知とは?元彼が認知してくれない場合に知っておくべきこと」をご参照ください。
③遺言認知
遺言認知は、父親が遺言で認知をする方法です。生前は周囲などとの関係もあって、子供の存在を隠していたけれども、自分の死後、財産は相続させたいような場合等に利用されます。
遺言書の中で、認知する子を特定し、「認知する」旨を記載する方法によって行うことができます。
(3)認知の撤回
いったん認知届を提出して認知を行った場合は、それを撤回することができないのが原則ですが、最高裁判所は、平成26年に、血縁関係がないのに出された認知届は無効であると判断しました。これにより、実際に血縁関係が無い場合は、認知届の無効を主張することで、認知を撤回することも可能となりました。
4、未婚の母が婚外子を幸せに育てるコツ
未婚の母が、婚外子のわが子を幸せに育てていくコツはなんでしょうか。
その答えはたった1つ。愛情をかけて育てることです。
子供がまっすぐ育つために必要なただ1つのものは、親の愛情です。これは、どんな状況でも本来与えることができるのです。どうか忘れないでください。
ただ、コツとして覚えておいていただきたいのは、周囲に協力を求めることをいとわないことです。
家族だけではありません。自治体でも、ひとり親のサポートは行っています。
ひとり親で育てることは、子育ての手が足りなくなることは当然です。そのため、いろいろなところに頼り、一人で子育てをしないこと。
あなたも自立し、そして子供もいつか自立させなければなりません。
それでこそ、最強の母子になっていくのです。
そのためにも、父親からの生活費の確保、相続権の確保は必ず行いましょう。
事情があって躊躇される場合は、ぜひ一度弁護士の無料相談だけ門をたたいてみてください。
配信: LEGAL MALL