「65歳」から「85歳」まで年金生活の場合、貯蓄はいくら必要?「年収600万円」の会社員のケースで試算

老後の安定した生活を送るためには、年金生活に入る前にあらかじめ必要な貯蓄額を把握しておくことが重要です。
本記事では、年収600万円のサラリーマンを例にとり、65歳から85歳までの20年間、年金で生活するために必要な貯蓄額の目安を計算します。

【世帯年収600万円夫婦】の年金受給額

定年まで年収600万円(賞与なし)を維持した場合、厚生年金保険料の等級は27、平均標準報酬額は50万円となります。

次のモデルケースで、Aさん夫婦のおよその年金額を試算します。

【Aさん夫婦】

Aさん:第2号被保険者

年齢:65歳

年収:600万円

平均標準報酬額:50万円

等級:27

加入月数:42年(504ヶ月)

Aさんの配偶者:第3号被保険者

厚生年金の受給額は、次の計算式で求められます。

 

平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数(2003年4月以降)

 

つまり「50万円×5.481/1000×504ヶ月」の計算になるので、138万1212円の厚生年金を得られることが分かります。この金額に「老齢基礎年金」の満額である79万5000円を加えると、合計217万6212円です。Aさんの配偶者が3号被保険者の場合、老齢基礎年金79万5000円が追加されて、総額が297万1212円、月額24万7601円になります。

 

仮に、所得税、住民税、社会保険料などが合計で約3万円かかると想定すると、実質的な手取り額はおおよそ21万7601円になる計算です。

 

65歳から85歳まで年金生活を送るために必要な貯蓄額

次に、65歳から85歳までの年金生活に必要な貯蓄額を算出します。ここでは85歳を基準に計算を進めます(日本人の平均寿命が2021年度時点で男性81.47歳、女性87.57歳となることから)。まずは、老後に必要な月々の生活費を見ましょう。主な生活費の内訳は図表1のとおりです。

 

図表1

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支より筆者作成

 

総務省統計局のデータによれば、2021年度の老後に必要な生活費は夫婦2人で25万5100円です。この金額は、消費支出と非消費支出を合わせたものになります。先に述べた年収600万円世帯の年金受給額の実質的手取り額21万7601円から、25万5100円を引くと、毎月3万7499円の赤字が生じます。

 

これを年間に換算すると44万9988円、20年間で899万9760円の不足額となります。ただし、この金額には介護費用や住宅補修、車の買い替え、家族旅行などは含まれていません。そのため、およそ1000万円を追加で見積もっておくことが望ましいでしょう。

 

このことから、85歳までには約1900万円の貯蓄が必要だと考えられます。

 

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