強盗致傷罪の法定刑は重い!執行猶予を獲得するためのポイントとは

強盗致傷罪の法定刑は重い!執行猶予を獲得するためのポイントとは

3、強盗致傷罪の刑罰は重い!

強盗致傷罪に問われると、どのくらいの刑罰を科せられるのでしょうか?罪に問われた場合、執行猶予がつくのかどうかが気になるポイントだと思いますので、以下、強盗致傷罪の法定刑と執行猶予の有無について解説します。

(1)強盗致傷罪の刑罰ってどれくらい?

強盗致傷罪の法定刑は、無期又は6年以上の有期懲役です(刑法第240条前段)。

強盗罪の法定刑は5年以上の有期懲役ですから(刑法236条1項)、人を負傷させたケースでは法定刑がかなり重くなります。

(2)原則として執行猶予はつかない

犯罪を犯して起訴されてしまった場合に、最も気になる点は執行猶予がつくかどうかでしょう。

執行猶予はどんな犯罪でもつく可能性があるのかというとそうではなく、判決で「3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金」の刑罰が言い渡される場合に限られます(刑法25条)。

強盗致傷罪の法定刑は残念ながらこれに該当しませんので、執行猶予がつかないのが原則です。

(3)例外的に執行猶予が付くケース

しかしながら、強盗致傷罪の場合でも例外的に執行猶予がつくケースがあります。

それが、「法律上の減軽事由」または「裁判上の減軽事由」(酌量減軽)がある場合です。

減軽事由に該当し刑が減軽されると執行猶予の対象になる可能性が出てきます。

「法律上の減軽事由」とは、所定の事由に該当する場合には法律上その刑が減軽される、つまり刑が軽くなる場合です。法律上の減軽事由には、必ず減軽される場合(必要的減軽)と減軽されるかどうかが裁判所によって決められる場合(任意的減軽)の2種類があります。

必要的減軽に該当するのは、中止未遂(自分の意思で犯罪を途中でやめた場合。刑法43条)、心神耗弱(犯罪をしない意思をもって行動する能力が弱まっていた場合。刑法39条2項)、幇助(ほかの人の犯罪を手伝った場合。刑法62条1項、63条)です。任意的減軽に該当するのは、自首(刑法42条1項)、過剰防衛(刑法36条2項)などがあります。

これに対し、「裁判上の減軽事由」(酌量減軽)とは、法律上の減軽事由に該当するわけではないものの、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに裁判所がその刑を減軽するものです。

被害者との示談成立の有無、被害の程度、被告人の更生の可能性、犯行に至るまでの経緯や犯行の動機等を総合的に考慮し、情状に酌量すべき事情があるかどうかが判断されます。

4、強盗致傷罪で執行猶予を獲得するためのポイント

上記のように、強盗致傷罪では原則として執行猶予はつきませんが、減軽事由に該当すると執行猶予がつく可能性が出てきます。

起訴を免れない場合でも、執行猶予を獲得できるかどうかでその後の生活が大きく変わります。ここからは執行猶予を獲得するためのポイントについて解説します。

(1)自首する

執行猶予を獲得するための1つ目のポイントは、自首することです。

自首は、捜査機関に発覚する前に、自ら犯罪事実を申告して刑事処分を委ねることであり、自首が成立すると任意的減軽事由となります(刑法42条1項)。

自首が成立するには「捜査機関に発覚する前」であることが必要です。そのため、犯人が誰であるかすでに捜査機関に発覚しているものの犯人の居場所がわかっていないようなケースで犯罪事実を自ら申告しても、自首には該当しません。なお、犯罪事実は発覚しているものの誰が犯人であるかは発覚していないケースで犯罪事実を自ら申告した場合は、自首に該当します。

このように、自首が成立すれば任意的減軽事由となりますが、自首が成立しない場合でも自ら出頭することが酌量減軽の検討の際に考慮される可能性があります。

自ら出頭することは自ら罪を償う意思の表れと言えますので、犯罪の情状に酌量すべきものがあると判断される可能性が高まりやすいでしょう。

(2)強盗致傷罪の成否を争う

強盗致傷罪の成否を争うという方法もあります。

強盗致傷罪に該当する行為をしたことを本人が認めている場合は別ですが、中には犯してもいないことで罪を着せられている場合や、犯罪行為はしたものの強盗致傷罪ではなく別の犯罪に該当するケースもあるでしょう。

強盗致傷罪は複数の行為や被害が含まれているケースなので、たとえば、強盗致傷罪ではなく「暴行罪と脅迫罪」となる場合や「窃盗罪と傷害罪」となる場合もあります。

成立する犯罪が変われば法定刑が変わり、執行猶予がつく可能性は高まりますので、強盗致傷罪の成否を争うことも大切です。

(3)被害者と示談する

被害者との間で示談が成立していることは酌量減軽の重要な考慮要素です。被害者が示談に応じているということから、裁判所は被害者の犯人への処罰感情が和らいでいると考える傾向があります。

起訴の前か後かに関わらず、被害者との示談成立に向けた活動は大切ですので、弁護士に依頼して示談成立に向けて動いてもらうとよいでしょう。

示談によって不起訴にならずとも、致傷の部分は起訴されないといった結果になることもあります。

(4)その他、プラスの情状を主張する

そのほか、酌量減軽を得るためには、犯人にとって有利となる情状を主張していくことも大切です。

たとえば、犯行に至る経緯の中で同情されるような事情等を主張したり、犯人が十分に反省をしており今後の更生に向けて周りのサポート体制が整っていたりすること、前科があっても異なる類型であって繰り返しているとは評価し難いこと等、有利となる情状を主張していきましょう。

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