後遺障害申請を弁護士に依頼するべき理由〜依頼のタイミングも紹介

後遺障害申請を弁護士に依頼するべき理由〜依頼のタイミングも紹介

3、後遺障害が認定されるまでの流れ

(1)治療が終了する(症状固定)

後遺障害の認定に進む前提として、症状固定という状態になっている必要があります。

症状固定とは、「治療を続けてもそれ以上症状が改善しなくなった状態」を指す言葉です。

症状固定の時期は医師の判断が重視され、ケガの部位や程度によって症状固定となるまでの時間は異なります。症状固定となれば、それ以降治療を行っても大きな改善はないとして、後遺障害の有無を判断する状況になります。

(2)後遺障害診断書を医師に作成してもらう

後遺障害の申請には、必ず医師が作成した後遺障害診断書が必要です。

後遺障害診断書には、自賠責の書式がありますので、保険会社から受け取るなどして入手してください。書式が手に入ったら、主治医に記載を依頼しましょう。費用は5000円~1万円ほどかかり、いったんは自己負担となるのが原則ですので、注意が必要です。

(3)申請する|方法は2種類

後遺障害の申請には2種類の方法があります。

①事前認定:保険会社に任せる

一つ目の方法は、事前認定です。事前認定とは、書類の収集や申請手続を保険会社にすべて任せてしまう方法をいいます。

後遺障害診断書を提出するだけでよいため、手間がかからないのがメリットです。

その反面、どのような書類が申請に用いられたのかがわからないデメリットがあります。

保険会社の顧問医が認定に消極的なコメントをつけ、認定がされづらくなることも考えられます。 

②被害者請求:すべて自分で行う

もう一つの方法は、被害者請求です。被害者請求とは、必要書類の収集・作成から申請手続のすべてを、保険会社を通さずに自分で行う方法をいいます。

事前認定とは反対に手間はかかるものの、自分で提出書類を決められるというメリットがあります。

自分自身ですべて行うのが難しい場合には、専門家に依頼して被害者請求をすることも可能です。

(4)結果が出る

申請したら結果がでるまで待ちましょう。原則として書面審査ですので、必要書類の不足がなければ、申請後に何らかのアクションを起こす必要はありません。

一般的には結果が出るまで1~2ヶ月程度ですが、難しい事案ではそれ以上要することもあります。

(5)納得がいかなかったら異議申立て

結果は、簡単な理由とともに通知されます。結果が納得のいくものであれば、そのまま保険会社との示談金交渉に進みます。

もし「認定されなかった」「思っていたよりも低い等級だった」と不満が残る結果であれば、何度でも異議申立て手続が可能です。

ただ、同じ書類で申請しても同じ結果となってしまいます。認定結果を変えるには、その根拠となる証拠を追加で提出しなければなりません。

4、後遺障害認定を弁護士に依頼すべき理由

後遺障害認定を弁護士に依頼すると以下のメリットがあります。

(1)後遺障害の申請手続を任せられる

後遺障害認定を弁護士に依頼すると、面倒な申請手続をすべて任せられます。

自分で被害者請求をしようとしても、必要書類は非常に多く、慣れない方には必要書類が何かわからないことも多いです。

かといって事前認定で保険会社に任せてしまうと、積極的に認定されるよう動いてくれるかは分かりません。

弁護士に被害者請求を依頼すれば、認定の可能性を高めつつ、申請を任せられるのです。

(2)後遺障害が認定されやすくなる

交通事故に精通している弁護士に依頼すれば、認定の可能性も上がります。

後遺障害認定には専門的な知識が必要です。医師であっても、後遺障害認定には詳しくないことも多く、後遺障害診断書に必要事項を記載していないケースがあります。

弁護士は認定のポイントを把握しています。診断書の記載内容をチェックし、場合によっては医師に修正をお願いすることも可能です。

診断書以外にも必要と考えられる書類を添付して申請するため、保険会社に任せる場合や自力で被害者請求する場合に比べ、認定可能性が上がります。

(3)弁護士基準で慰謝料を請求できる

弁護士は裁判基準で慰謝料を請求するため、賠償金の増額が期待できます。

例えば14級の場合、自賠責基準では32万円ですが、裁判基準では110万円と3倍以上になります。

弁護士をつけずに裁判基準の金額を獲得するには、裁判を起こさなければならず大変です。

弁護士に依頼すれば、交渉で裁判基準の慰謝料を請求でき、時間と手間を節約できます。

(4)保険会社とのやりとりから解放される

弁護士に依頼すれば保険会社とのやりとりもすべて任せられます。

交通事故では、相手方保険会社の態度が不誠実なこともあります。

「担当者の対応が悪い」「低額な示談金額を提案してきた」などお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弁護士に交渉を任せてしまえば、保険会社とのやりとりをせずにすみ、ストレスから解放されます。 

(5)弁護士費用特約を利用すれば自己負担ゼロのケースもある

自分の加入する保険の弁護士費用特約を利用できれば、弁護士費用特約では300万円までの弁護士費用は負担されるため、費用負担を軽減できます。

「むちうちで14級」といった比較的後遺障害が軽度のケースでは、多くの場合自己負担はありません。

弁護士費用の負担が軽くなりますので、自身の加入している保険を確認し、特約を利用できないか確認してみましょう。また、弁護士費用特約を利用しても翌年以降の保険料は上がりません。

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