なぜ検察庁からの呼び出しが来ない?理由と今後の展開を弁護士が解説

なぜ検察庁からの呼び出しが来ない?理由と今後の展開を弁護士が解説

3、検察庁から呼び出される具体的ケース

ここからは、検察庁から呼び出される具体的ケースをご紹介します。

(1)被疑者として刑事事件の起訴・不起訴の判断のために呼び出される場合

①取り調べとして呼び出されるケース

逮捕されて警察での取り調べを受けた後、一度は釈放されても事件の捜査は続いています。

事件の起訴・不起訴を決定するためには、証拠の分析だけでなく、被疑者の取り調べが必要となるケースも多いです。

刑事事件の起訴・不起訴の判断のために、被疑者への取り調べとして、検察庁から呼びだされるケースがあります。

②略式手続の承諾書にサインするために呼び出されるケース

刑事手続の中に、「略式手続」というものがあります。

略式手続とは、被疑者の同意のもと罰金または科料を支払って事件が終了するという簡易の手続です。

罰金または科料の額は100万円以下となっています。

略式手続の承諾書にサインをするために、検察庁に呼び出されることがあります。

③検察庁の呼び出しがあったら不起訴は無理?

検察庁に呼び出されたからといって、確実に起訴されるというわけではありません。

検察庁からの呼び出しで取り調べを受けたとしても、以下のような事情を考慮し、不起訴の判断がなされることもあります。

検察官が終局処分を決めるまでの間に被害者と示談が成立していた
被疑者本人が反省している など

検察官からの取り調べでは、示談や反省の情など自身に有利となる事情をしっかりと主張しましょう。

(2)参考人として任意で取り調べを受ける場合

被疑者としての取り調べだけでなく、参考人として取り調べを受ける場合にも、検察庁から呼び出される場合があります。

①出頭・取り調べの義務まではない

事件に関与していない参考人も、被疑者の終局処分を決定するために必要となれば、検察官が参考人として取り調べを要請する場合があります。

具体的には、事件を目撃した、被疑者と関係性がある場合などが考えられます。

この場合、参考人は検察庁から呼び出しを受けたとしても、出頭や取り調べに応じる義務はありません。

出頭や取り調べは任意ではあるものの、被疑者以外の人を検察庁が呼び出すということは、事件の終局処分の決定に参考人の取り調べが必須というケースもあるでしょう。

よほどの理由がない限り、検察庁からの呼び出しに応じたほうが、事件解決はスムーズに進みます。

②拒否した場合、裁判で証人尋問を受ける可能性あり

犯罪捜査に欠かせない知識を有する参考人が、取り調べを拒否した場合、刑事裁判に呼び出されて証人尋問を受ける可能性があります(刑事訴訟法226条)。

裁判に呼び出されるのは、検察官の取り調べよりも負担に感じる人が多いので、検察庁からの呼び出しに応じた方が、負担は少ないといえるでしょう。

(3)警察の呼び出しと検察庁の呼び出しの違い

警察の呼び出しでも検察庁の呼び出しでも、被疑者は取り調べを受けることに変わりはありません。

段階としては、警察の呼び出しが先です。警察が証拠を集め、検察庁の取り調べの準備段階を担います。

その後、検察庁は、警察の取り調べをもとに足りない部分の補充捜査を行い、最終的に起訴・不起訴の判断をします。

4、検察庁の呼び出し前に確認しておくべきこと

ここからは、検察庁の呼び出し前に確認しておくべきことを紹介します。

(1)検察庁の呼び出しがあるまでの期間

警察での取り調べが終わった後、検察庁からの呼び出しがあるまでの期間は、具体的に決まっているわけではありません。

検察庁の繁忙期にあたってしまうと、事件の複雑性がなくても、呼び出しまでに時間がかかるケースがあります。通常は、在宅事件の場合、警察の捜査で1〜2ヶ月かかり、その後書類送検されます。

警察から検察庁への書類送検については、被疑者側に連絡があるわけではないので、具体的な日程はわからないケースがほとんどです。書類送検されてから検察庁の呼び出しがあるまでは1〜2ヶ月程度かかるのが通常です。

ただし、これはあくまで目安なので、2ヶ月程度経って検察庁の呼び出しがないからといって、安心し過ぎないようにしましょう。

(2)呼び出し日時の変更は可能?

検察庁から呼び出しがあった場合、できる限り変更せずにそのまま呼び出しに応じたほうが安心でしょう。

呼び出しを執拗に遅くしたり無視したりすると、被疑者にとって何のメリットもありません。もし、どうしても仕事で呼び出しに応じられない場合は、早めに検察庁に連絡をし、呼び出しの日時を変更してもらいましょう。

(3)検察庁の呼び出しを無視した場合

検察庁からの呼び出しは任意であり、呼び出しに応じる義務があるかというと義務まではありません。

ですが、検察庁から被疑者として呼び出しを受けた場合、終局判断の決定をするために取り調べをする必要があるケースがほとんどです。

検察庁の呼び出しがあった場合は、無視せずしっかり取り調べに応じましょう。検察庁の呼び出しを無視すると被疑者にとって不利になる可能性があります。

最悪の場合は、逃亡・証拠隠滅のおそれがあるとして逮捕されたりする可能性があるため、注意が必要です(刑事訴訟法199条2項、刑事訴訟規則143条の3)。

(4)弁護士への相談

検察庁の呼び出しを待っている間、数か月にわたって検察庁の呼び出しが来ないと、不起訴だと安心してしまう人がいます。

ですが、呼び出しが来ない理由はさまざまな事情が考えられ、検察庁の呼び出しがあるまでに時間がかかるケースも多々あります。

呼び出しが来ない間も検察庁の捜査が進み、起訴される可能性もあるのですから、検察庁の呼び出しがくる前に弁護士への依頼を検討しましょう。

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