リスクを踏まえると多少の貯金は欲しい
ただ、長生きする・しないはそう簡単に自分でコントロールできるものではありません。突然の病気やけがは、長生きとは関係なく訪れることもあります。
その点を考えると、長生きする気はないといっても、よほど日々の生活が圧迫されているような場合を除き多少の貯金はしておくべきでしょう。貯金は老後を迎えるまでの間においても、万が一の備えになります。
とはいっても、今から無理に1000万円、2000万円と、いきなり多くの金額を目標とする必要もありません。まずは、軽い入院などに備えて1ヶ月分から2ヶ月分の生活費をためて、それが達成できたら、大きめのけがや病気で療養が必要な場合に備え、半年分の生活費をためてみましょう。そして可能であれば、長期療養に備えて1年から2年分の生活費を……といった具合で、少しずつ貯金をしていくのが理想です。
長生きする気はなくとも多少の貯金はしておきたい
「長生きする気はないから」と貯金ゼロでも、12万円の年金収入が毎月得られるのであれば、年金を受け取りながら就労して収入を得たり、生活費を大きく削ったりすることで、老後を乗り切れる可能性があります。
ただ、人生は何が起こるか分かりません。考えが途中で変わったり、病気やけがによって計画が想定どおりにいかなかったりする可能性もあります。
老後について考えるのは人生において大切なことです。しかし、「長生きする気はないから」と簡単に決めると、状況が変化し想定外の出来事が起きたとき、後悔することにもなりかねません。「おひとりさまで長生きする気もないから」と刹那的に貯金なしで老後を乗り切ろうとするのではなく、万が一に備えて多少なりとも貯金をしておくべきでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2022年(令和4年)平均結果の概要
執筆者:柘植輝
行政書士
配信: ファイナンシャルフィールド
関連記事: