諸外国の親権制度から読み解く子どもの福祉|子どもの福祉のために知るべきこと

諸外国の親権制度から読み解く子どもの福祉|子どもの福祉のために知るべきこと

この記事では、諸外国と日本の親権制度の違いを解説した後、子供を福祉を実現するために知っておくべきことを解説します。

子の監護と養育費に関して親が心得るべき大切な考え方

親権のうち、子どもの監護教育を行う権利義務のことを「監護権」といいます。監護権には次のような内容が含まれています。

・身分行為の代理権

・居所指定権

・懲戒権

・職業許可権

離婚する場合には父母のうちどちらが親権者になるか決めなければなりません。日本では9割が協議離婚となっており、その時には夫婦が協議のうえで親権者を決めます。

監護権を行使するのは離婚の際に親権者となったほうです。子どもが乳幼児の場合には、主体的に育児を行ってきた母親が親権者となるケースが多く見られますが、子どもが成長するにつれて本人の意思が尊重されるようになります。

また、基本的には、教育費に関しては、日本では離婚相手から支払われないケースも少なくありません。平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告によれば、離婚時に養育費の取り決めをしているのは、母子家庭で42.9%、父子世帯で20.8%となっており、現在も養育費を受けているのは、母子世帯が24.3%、父子世帯が3.2%となっているのです。


引用:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

なお、一部では「単独親権では養育費の支払いが滞りやすい」「共同親権であれば養育費の支払い確保が可能」などの報道がありました。しかし、親権者とならなかった親も、親子関係がなくなるわけではなく、子どもへの扶養義務はなくならないため、養育費を負担する義務があります。養育費の支払いが滞った場合には、裁判手続きで請求することも可能です。

従って、養育費未払いの問題と親権の問題は別の問題として考えるべきなのかもしれません。

関連記事:養育費獲得の完全ガイド|増額や支払いを続けてもらう知識|ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)

参考:離婚後の「共同親権」案が浮上……ナゼ? 子どもに不利益、海外では「単独親権のみ」は少数派 共同親権にも課題

面会交流の機会が少ない日本の現状

離婚時には面会交流について決定するものと民法では規定されているものの、実際に取り決めを行っているのは母子世帯で42.9%、父子世帯では20%となっています。(平成28年度全国ひとり親世帯等の調査)


 

引用:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

さらに、離婚時に面会交流の取り決めを行っていたとしても、離婚後に継続して面会していないケースも多くあります。同調査によれば、「面会交流を現在も行なっている」家庭は、母子世帯で29.8%、父子世帯で45.5%となっているのです。


引用:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

面会交流については、現行の単独親権であっても、面会交流できていない親が裁判手続きによって面会交流を求めることも可能です。ただし、非親権者が精神的・身体的暴力を奮った過去がある場合などには面会交流が制限される可能性があります。面会交流は「子の福祉」のために実施されるべきと考えられているためです。

関連記事:面会交流調停の流れと面会交流が許可されないケースまとめ|ベンナビ離婚(旧:離婚弁護士ナビ)