年金の分割についても考えなければならない
年金分割とは、離婚した夫婦のどちらか一方または双方の請求によって、婚姻期間中における厚生年金の加入記録を当事者間で分割できる制度です。年金分割には、当事者間での合意や裁判手続きによって分割割合を決める合意分割と、専業主婦など国民年金第3号被保険者であった方から請求する3号分割があります。
合意分割なら最大で2分の1を上限に夫婦で分割割合を決められます。一方、3号分割での分割割合は2分の1です。なお、年金分割も財産分与と同じく、請求の期限は離婚から2年以内となっています。
とはいえ、年金分割の対象はあくまでも婚姻期間中の厚生年金の加入記録だけで、国民年金(老齢基礎年金)は対象外です。例えば、離婚した相手からの3号分割の請求によって自身の厚生年金記録を2分の1ずつ分割したからといって、将来の年金額が半分になるというわけではありません。
また、iDeCoなどの個人年金や企業年金については年金分割の対象となりませんが、財産分与の対象にはなり得ます。
分割後の年金の見込み額などについては、最寄りの年金事務所でご確認ください。
まとめ
定年を機に熟年離婚を考えている場合、特にお金まわりについてはさまざまなことに配慮する必要があります。
財産分与や年金の分割など、離婚によって金銭面でどのような影響があるのか確認し、夫婦間でしっかりと話し合うことはもちろん、状況によっては弁護士への相談なども行っておきましょう。
出典
中央労働委員会 令和3年賃金事情等総合調査(令和3年退職金、年金及び定年制事情調査 調査結果の概要)
執筆者:柘植輝
行政書士
配信: ファイナンシャルフィールド
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