身寄りがない一人暮らし高齢者の場合、貯蓄は500万円以上ないと生活が苦しくなりますか?

高齢化や核家族化、未婚率の上昇など多くの社会問題の影響から、65歳以上の一人暮らしの高齢者が増えているとされています。そして、特に身寄りのない方の中には、頼る方がおらず将来が不安になり、どれくらい貯蓄があれば老後に困らないのか、悩んでいる方もいるようです。
 
そこで、身寄りのない一人暮らしの高齢者は、貯蓄が500万円以上なければ生活が苦しくなってしまうのか、考えていきます。

単身高齢者の毎月の不足額はどれくらい?

まずは高齢の単身者にどれくらいの生活費がかかっているか知っておきましょう。総務省統計局の家計調査によれば、2022年の65歳以上の単身無職世帯の実収入は13万4915円となっています。

 

それに対して支出は、2万580円の不足が生じています。つまり、単身者は老後、毎月15万5495円のお金が必要となることが分かります。特に重要なのは毎月2万580円の不足分が生じているという点です。

 

ここから、老後は年金だけで生活するというのは現実的ではないことが分かります。老後は年金に頼るのではなく、年金以外も活用して生活費を確保する方向で考えるべきでしょう。

 

なお、生活費がどれくらい必要になるかは人によりけりです。人によっては「もっと多く、17万円必要」ということもあれば「もっと少なく、15万円以下で事足りる」という場合もあるかもしれません。そのため、具体的にどれくらいの生活費が毎月不足するのかは、自身の現在の生活費を基に考える必要がある、という点に注意しましょう。

 

平均余命まで生きると不足額の総額は何円になる?

では、仮に毎月2万580円の不足額が生じるとして、老後どれくらいの貯蓄があれば生活していけるのか考えていきましょう。

 

厚生労働省の「令和4年簡易生命表」によれば、0歳児の平均余命は男性で81.05歳、女性で87.09歳になっているようです。仮に、両者のほぼ中間の年齢である85歳まで生きると考えます。

 

この場合、65歳から85歳までの20年間で不足するお金の総額は493万9200円となります。ここから考えると、単身者でも、老後はおよそ500万円の貯蓄がなければ生活が苦しくなることが想定されます。

 

しかし、これはあくまでも85歳まで生きる場合の話です。それ以上に長く生きる場合は、500万円の貯蓄では不足します。例えば、90歳まで生きる場合で考えてみましょう。

 

この場合、5年間で不足するのは合計およそ120万円です。すると、25年間で不足する額は総額で617万4000円と、500万円用意した程度では不足します。そのため、平均寿命を参考に、自分が何歳まで生きるかを想定しながら、その年齢に合わせた貯蓄額の準備が必要になります。

 

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