余裕を持って始業時刻よりも早めに出勤している人もいるでしょう。しかし「10分前に出勤すれば業務に支障はない」という状況であっても、会社の慣習などからもっと早く出勤するよう指導を受けることがあるかもしれません。その場合、早く出勤した時間分が労働時間に含まれるのかどうかは気になるところです。
本記事では、法律上の労働時間の定義や、上司の指示で始業前に来た場合は労働時間とみなされるのかについて解説します。
始業時間前に出社する人は少なくない
人事支援サービスなどを展開するベースメントアップス株式会社がコロナ禍前の2019年に実施した「出社時間についての調査」の結果によると、出社時間は「始業15分前」と答えた人が35%と最も多い結果でした。
次いで「始業時間ちょうど」と「始業30分前」がそれぞれ27%、「始業1時間前」が11%となっています。始業時間とほぼ同時に出勤する人もいますが、7割以上の人が余裕を持って早めに出勤していることが分かります。
労働時間の定義とは?
厚生労働省によると、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと」と定義されています。また「使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間」も労働時間に該当します。
労働時間とみなされるケース
では「使用者の明示」や「黙示の指示」とは、どういったケースが該当するのでしょうか?以下の場合は、明示を受けたとみなされるでしょう。
・30分前に出勤するよう上司から指導された
・前日の業務が終わらず、翌日早く出勤して作業するよう指示があった
また、以下の場合には黙示の指示を受けたとみなされます。
・始業時間前に全員参加の朝礼が行われる
・始業前に掃除をしなければならない
いずれも労働時間に該当する可能性が高く、時間外労働として残業代が請求できる場合もあります。
労働時間とみなされないケース
会社や上司からの明確な指示がなく、以下のような理由で始業時間よりも早く出勤する場合は、労働時間とみなされないため注意が必要です。
・遅刻が心配で早めに出勤したい
・渋滞に巻き込まれたくない
・周りに人がいないうちに仕事を済ませたい
この場合、あくまでも自分の都合や意思によって出勤時間を早めているので、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」には該当しない可能性が高いです。
配信: ファイナンシャルフィールド