連休明けに毎回有休を取得して「3連休」にする社員がいます。業務が滞るのですが、有休は「権利」と主張されると何も言えません……。

「有給休暇は労働者の権利」という事実が広がってきている昨今、堂々と有給休暇を取得する若者の存在は、苦言を呈されることもあるようです。
 
本記事では、職場で、連休明けに有給休暇を取得して頻繁に3連休を取る人によって、仕事が滞っていると仮定して、どうにかそれを改善することはできないのかを考えていきます。

有給休暇は原則として使用を拒むことができない

有給休暇は、労働者側が自由なタイミングで行使できるという法的性質があります。世間的には、労働者の側が会社の許可を得て、有給休暇を「使わせてもらう」というイメージのほうが強いかもしれません。

 

しかし、法的には会社の許可は不要で、労働者が前日までに指定すれば、無条件で利用できる強力な権利です。本来は「会社の承認によって与える」というような、会社優位なものではないのです。ましてや上司や同僚に「お伺い」を立てて使わなければならないものでもありません。

 

そのため、「連休明けに有休を使用して3連休にする」という方法をとる社員がいたとしても、それを禁止したり罰則を与えたりするなどの、いわゆる不利益扱いをすることはできません。例えば、「有休を使って3連休にする場合は、1回につき1万円減給」という罰則や、「従業員から企業に5000円の支払いが必要」などという決め事はできないというわけです。

 

もちろん「業務が滞ったので、その損害として100万円を損害賠償請求する」といった命令もできません。つまり、3連休にするために有休を取った従業員がいれば、そのまま希望する日に有給休暇を取得させることが原則になります。

 

もし「労働者の希望する時期に取得させない」ということをすると、会社側は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される場合があります。

 

有給休暇には時季変更権がある

原則として、社員の希望時期に取得させなければならない有休ですが、それには、時季変更権を行使するという例外事由があります。それは、有給休暇の取得を認めることで、職場において事業の適正な運営が妨げられてしまうような場合です。

 

とはいえ、この条件を満たすことは非常に難しく、単に「繁忙期だから」「業務が忙しいから」などといったような漠然とした理由では認められません。

 

会社側が時季変更権を行使するには、事業に影響することについての客観的な蓋然(がいぜん)性の存在や、ほかの労働者を確保できるかどうかなど、さまざまな要件を満たすことが必要であり、簡単には認められません。

 

今回のように、単に「業務が滞る」といった程度では、「有休は権利」と主張する社員に、時季変更権を用いて日にちを変更させることは難しいでしょう。

 

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