今年はもう扶養の「130万円の壁」を越えても大丈夫。そう聞いたのですが、どういうことですか?

扶養内で働いているパート主婦の多くが毎年、扶養から出てしまわないように、パートの時間を調整しているようです。ところが、厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」という政府の施策により「今年から130万円の扶養の壁を超えても大丈夫だ」という声が上がるようになりました。これは一体どういうことなのでしょうか。
 
パートで働く主婦たちに向けて解説していきます。

そもそも130万円の壁って?

「130万円の壁」とは、「これ以上の年収になると、社会保険の被保険者の扶養から抜けて、自ら社会保険に加入しなければならない」という壁です。要は、自身の給与から健康保険や厚生年金などの社会保険料を支払わなければならないというものです。

 

パートで効率よく稼ぎたいにもかかわらず、社会保険の保険料が生じるとかえって効率が悪くなる場合があることから、現在パート主婦に意識される「壁」の一つとして有名です。

 

厚生労働省の令和3年の調査によれば、配偶者のいる有期雇用パートタイムの女性が就業調整をした理由としては、「一定額(130 万円)を超えると配偶者の健康保険、厚生年金保険の被扶養者からはずれ、自分で加入しなければならなくなるから」というものが55.4%と、最も高くなっています。

 

ここから、130万円の壁は、パート主婦の労働参加を阻害している、大きな原因の一つと考えられてきました。

 

「今年はもう130万円の壁を超えても大丈夫」と言われるようになった理由とその背景

「今年はもう130万円の壁を超えても大丈夫」と言われるようになった理由は「連続2回(年1回の確認の場合連続2年)であれば、勤務先が『一時的な収入増加』という証明をする」という条件の下、年収が130万円を超えても扶養に入ったままでいられる、という措置が2023年10月から開始されたからです。

 

最近では企業の人手不足に加えて、最低賃金が全国的に上がってきています。直近では全国加重平均額が1004円に達し、平成14年時点での最低賃金663円の1.5倍以上になるなど、大きく上がってきています。

 

今後は扶養内での勤務を希望するパート主婦による「働き控え」がさらに加速する、と見込まれたことなどを背景に、今回の措置の実行に至ったようです。

 

関連記事: