50代独身でタンス預金が「2000万円」程度あります。1つの銀行に預けても問題ないでしょうか?

給料をもらったら銀行に預けておき、必要に応じて現金を引き出すのが一般的な対応でしょう。しかし、銀行に預けずに自宅でタンス預金をしている人も一定数いるのではないでしょうか。
 
長年にわたってタンス預金を継続して2000万円程度になった場合、一つの銀行に預ける際には銀行破綻時の預金保護について理解を深めておいてください。金融庁「預金保護制度」によると、保護対象は「1金融機関1預金者あたりの元本1000万円までと、破綻日までの利息など」と定められているからです。
 
本記事では、2000万円程度のタンス預金を1つの銀行に預ける際の問題点などを解説します。

タンス預金は自宅で貯めている現金を意味する

 

タンス預金とは、銀行などに預けないで自宅で貯めている現金を意味します。必ずしもタンスの中ではなく、金庫や本棚、床下収納といった自宅内のいずれかの場所に保管していればタンス預金と見なしていいでしょう。

 

いつでも必要なタイミングで現金を用意できるうえ、銀行へ現金を預けたり、引き出したりする手間もかかりません。また、ATMを利用する際の時間外手数料や引き出し制限も気にしないで済む方法です。

 

銀行へ預け入れした金額が1000万円を超えると破綻時に補償を受けられない

 

仮にタンス預金が2000万円程度あった場合、それらを一つの銀行に預けることは可能です。しかし、ペイオフ(預金保護)で補償してもらえる上限は1000万円である点に気を付けなければなりません。

 

ペイオフとは、銀行などの金融機関が破綻した際の破綻処理方式の一つです。普通預金や定期預金といった利息の付く預金に対し、1金融機関1預金者あたりの元本1000万円までと、破綻日までの利息などが保護されます。

 

保護の基準を超えた分については、破綻した銀行の財産の状況に応じて支払われますが、一部支払われない可能性も高いです。タンス預金2000万円を銀行に預けて破綻した場合は、1000万円損をするケースもあり得ると認識しておきましょう。

 

預金保護の詳細は表1のとおりなので、銀行にタンス預金を預ける際の参考にしてください。

 

【表1】

 

預金の種類 保護の範囲
預金保険の対象となる預金 当座預金、利息の付かない普通預金といった決済用預金 全額保護の対象
利息の付く定期預金、定期積金、普通預金といった上記以外の一般預金など 1金融機関1預金者あたりの元本1000万円までと、破綻日までの利息などが保護
預金保護の対象にならない預金 外貨預金、譲渡性預金、無記名預金、架空名義の預金、他人名義の預金、募集債および保護預かり契約が終了した金融債など 全額保護の対象外

 

※金融庁「預金保護制度」をもとに筆者作成

 

複数の銀行に分けて破綻時に備えられる

 

タンス預金が2000万円程度あるなら、ペイオフの観点から考えると複数の銀行に分けて預け入れをしたほうが破綻時に備えられます。

決済用預金に1000万円、定期預金や普通預金といった一般預金に1000万円を預け入れるのであれば銀行を分けずに済みますが、将来的に超低金利の状況に変化があり、金利が上昇した際には決済用預金に多額のお金を預けることで損失を被るだけです。

      

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