「画像強調内視鏡」をご存じですか? 機材レベルによって診断精度も変わるって本当?

「画像強調内視鏡」をご存じですか? 機材レベルによって診断精度も変わるって本当?

内視鏡検査の検査機器・検査技術は日々進歩しており、これまで以上に病変が見つけやすくなってきているそうです。ここでは検査機器の1つ「画像強調内視鏡」について、内視鏡医の工藤豊樹先生(東京内視鏡クリニック院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。

監修医師:
工藤 豊樹(東京内視鏡クリニック)

日本医科大学を卒業後、2022年6月まで昭和大学横浜市北部病院に講師として勤務。およそ20年間にわたり全国の最先端施設で消化器内視鏡診断・治療の経験を積んでおり、特に大腸内視鏡検査においては現在まで約4万件以上の検査・治療に携わっている。2022年7月より、東京内視鏡クリニックの院長となる。

内視鏡検査とは?どんな病気がわかるの?

編集部

内視鏡検査について教えてください。

工藤先生

小型のカメラを使って、胃や大腸など消化管の内部を視覚的に観察できる検査です。いわゆる「胃カメラ」や「大腸カメラ」などが内視鏡検査にあたります。

編集部

内視鏡検査ではどんな病気がわかるのですか?

工藤先生

胃カメラの場合は逆流性食道炎や食道がん、胃潰瘍、胃ポリープ、胃がん、十二指腸潰瘍など、大腸カメラの場合は最近増えている大腸がんはもとより大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、大腸憩室症などを発見することができます。また、早期のがんやポリープなどが見つかった場合、その場で病変を切除することができることも大きな特徴です。

編集部

がんも見つけることができるのですね。

工藤先生

そうですね。食道がんや胃がん、大腸がんは、早期であれば良好な治療成績が示されています。しかし、早期だと症状が全くない場合がほとんど。そのため早期のがんの多くは、胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査で見つかっていることが多いのです。

画像強調内視鏡って何? 内視鏡医が解説

編集部

画像強調内視鏡とは何ですか?

工藤先生

いわゆる「内視鏡検査」では、主に白色光を使って消化管の粘膜を観察しています。白色光とは、内視鏡の先端から青、緑、赤の3原色で合成される光です。早期の消化管がんの多くは白色光観察で発見が可能ですが、色や形の変化が少ない病変の場合は、白色光観察ではわかりにくいことがあります。そのための改良を施したのが「画像強調内視鏡」です。

編集部

もう少し詳しく教えてください。

工藤先生

白色光から光の波長を変換し、消化管の粘膜表面の模様や色調を強調して観察できる方法です。これまでに、さまざまなフィルター処理やコンピューターでの信号処理を用いて、白色光を青や緑の光に変換する内視鏡システムなどが開発されています。

編集部

これまでは観察しにくかった病変もわかりやすくなるということですか?

工藤先生

はい。画像強調内視鏡観察では、白色光観察と比較して早期がんやポリープが発見しやすくなったことが報告されています。さらに、画像強調内視鏡に、画像を拡大する機能も加えた拡大内視鏡(約100倍)や超拡大内視鏡(約520倍)で粘膜模様や血管を観察することにより、病変の良性・悪性の診断、早期がんの範囲診断、がんの深さの診断などが行えるようになってきています。

編集部

診断もできるのですか?

工藤先生

最終的な診断は病変を切除後、切除したものを病理組織検査に回し、そこで判断されますが、最近開発されている高機能の内視鏡は、内視鏡検査の段階でも高確率で良性・悪性がわかるようになっています。最終診断は、切除後を待たなければいけませんが(約2~3週間)、しっかりとした診断能力のある内視鏡医の診断であれば、病理検査で覆されることはほぼありません。

関連記事: