「大腸がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?女性が発症する原因も医師が解説!

「大腸がんになりやすい人」の特徴はご存知ですか?女性が発症する原因も医師が解説!

大腸がんになりやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医が大腸がんになりやすい人の特徴・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

≫「大腸がんの原因」となる可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が解説!

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「大腸がん」とは?

大腸は、小腸に続いて右下腹部から始まり、おなかを時計回りにぐるりと大きく回って肛門につながる食べ物の最後の通り道です。大腸の長さは約1.5m~2m程度で、結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)と直腸からなります。この大腸にできるがんが大腸がんです。大腸がんにかかる割合は年々増加しています。日本では男女とも2番目に多いがんです。男女ともに40歳代以上では増加する傾向があり、注意が必要です。

大腸がんになりやすい人の特徴

大腸がんは生活習慣や家族の病歴との関わりがあるとされています。大腸がんになりやすい人の特徴について解説します。

飲酒・喫煙

飲酒、喫煙は大腸がんの危険因子となります。
日本における研究報告で、男性では飲酒しない人と比較して一日平均1合以上2合未満飲酒する人は1.4倍、2合以上飲酒する人は2.1倍大腸がんになりやすいという報告があります。女性では、飲酒との関連ははっきりしませんでしたが、飲酒量が多い方が少なかったためと考えられ、女性でも飲酒量が多くなると大腸がんになる危険性は高くなると考えられています。
一方喫煙は、男女ともに喫煙する人は喫煙しない人と比較して、大腸がんの発生率は1.4倍増加するという結果でした。他のがんと同様に、飲酒・喫煙ともに大腸がんとの関連性が認められています。大腸がんにかからないようにするためには、一合未満程度の適度な飲酒と禁煙が重要といえます。

肥満

肥満も大腸がんと関連しています。肥満によりインスリンの作用が悪くなり、インスリンが多く分泌され、高インスリン血症を来たします。これに伴いインスリン様成長因子(IGF-I)も増加することで、大腸がんの危険性が増加すると考えられています。
国内の研究では、男性においてBMI25kg/m2未満の群と比較してBMI27 kg/m2以上でがんのリスクの上昇がみられました。女性に関しては、今の段階でははっきりとした差がみられていません。特に男性では、肥満を防ぎ、適正体重を維持することも大腸がんを防ぐために必要です。

赤肉・加工肉の摂取

日本人における大腸がんの増加は、食生活の欧米化による影響もあると考えられています。牛肉、豚肉、加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)を過剰に摂取することで、大腸がんの危険性が増加すると言われています。しかし、一日あたりの日本人の赤肉・加工肉の摂取量は平均63gと言われ、元々赤肉摂取量が諸外国と比較して少ないです。このため、日本人の平均的な赤肉・加工肉の摂取量では問題なく、食べ過ぎないことが大切です。

家族歴

大腸がんには遺伝的要因が関係している場合があります。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では大腸がんになる危険性が高いことが分かっており、若い時から定期的な大腸の精密検査を受けることが勧められています。
家族性大腸腺腫症とは、大腸にたくさんのポリープができる遺伝性の病気で、ポリープは年齢とともに増加し、癌化します。大腸以外にも胃や十二指腸、小腸にもポリープができ甲状腺がんや骨腫瘍などの合併も起こります。
リンチ症候群とは、遺伝子の異常を修復する「ミスマッチ修復遺伝子」に遺伝子がうまく働かない変異が生じることでおこる遺伝性の病気です。この影響で大腸がん以外にも子宮内膜がんや卵巣がんなどさまざまながんが発生しやすくなります。
家族にこのような病気がいる方は、若いうちから精密検査を受けることが勧められます。

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