「肺がんステージ3」の症状・治療法はご存知ですか?発症しやすい人の特徴も解説!

「肺がんステージ3」の症状・治療法はご存知ですか?発症しやすい人の特徴も解説!

初期段階では症状が出にくく、早期発見が難しいとされている肺がんですが、ステージ3とはどのようなものなのでしょうか。

もしステージ3と診断された場合、「手術は可能なのか」「5年生存率は?」などが気になります。

その疑問にお答えするため、ここでは肺がんのステージ3における症状や診断方法・治療方法について、詳しく解説します。

記事の後半では予防方法についても触れていますので、少しでも参考にしていただけたら幸いです。

≫「肺がんの原因」はご存知ですか?女性の原因やなりやすい人の特徴も医師が解説!

監修医師:
甲斐沼 孟(TOTO関西支社健康管理室産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。2023年、TOTO関西支社健康管理室産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肺がんとは?

肺は胸部の左右にひとつずつありますが、右肺は3つに、左肺は2つに分かれています。肺がんは、それらの肺胞の細胞・気管支・気管に、何らかの原因で発生してしまった悪性腫瘍です。
肺がんは大きく分類すると「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分かれます。そして非小細胞肺がんは、 腺がん・扁平上皮(へんぺいじょうひ)がん・大細胞がんなどに分類されます。それぞれどんな特徴があるのか、みてみましょう。
小細胞肺がんは以下の通りです。

小細胞がん:肺門・肺野ともに多く発生します。増殖が速く転移しやすい特徴があり、喫煙との関連が大きいといわれます。

非小細胞肺がんは以下の通りです。

腺がん:肺野に多く発生し、肺がんのなかで最も多くの罹患者がいます。症状が出にくく、ドライバー遺伝子変異が多いのが特徴です。(ドライバー遺伝子とは発がん・がんの悪性化において、直接的な原因となるような遺伝子のこと)

扁平上皮がん:肺門・肺野ともに多く発生します。喫煙との関連が大きく、咳や血痰などの症状が現れやすいのが特徴です。

大細胞がん:肺野に多く発生し、増殖が速いのが特徴です。

肺がんのステージ3について

がんのステージ(病期)とは、がんの進行の程度を示しています。肺がんの場合は、がん細胞のできた場所・大きさ・進行度などを診断してステージ(病期)が決まります。肺がんのステージを決定するには、TNM分類が主に使用されますが、それぞれのアルファベットが表わす意味は以下の通りです。

Tumor(腫瘍の大きさと位置)

Nodes(リンパ節への転移の有無)

Metastasis(体の他の部位への転移の有無)

T・N・Mの分類が決定されると、それらの組み合わせでステージ(病期)が決定します。通常がんのステージは、最も初期段階である0期からI期・II期・III期・最も進行した段階のIV期と定義されます。段階的にみて、肺がんのステージ3は進行がんといえるでしょう。腫瘍そのものが大きくなり、ほかの臓器に転移や浸潤(がんが周囲の臓器に入り込むこと)がみられる場合が多いのです。
ステージ3は、さらに以下のようなA期・B期・C期の3期に分けられています。判断基準となる病期ごとの症状は代表的なものです。

A期:横隔リンパ節に転移がある。腫瘍が周囲に浸潤し、肺門部リンパ節に転移がある。

B期:反対側の縦隔や、鎖骨の上あたりにあるリンパ節への転移がある。腫瘍が周囲に浸潤し、縦隔リンパ節への転移がある。

C期:反対側の縦隔や、鎖骨の上あたりにあるリンパ節への転移がある。大きさを問わず横隔膜、縦隔などへの浸潤がある。異なった肺葉内で離れたところに腫瘍がある。

主な症状

肺がんのステージ3では、リンパ節や胸膜に転移していることが多いため、以下のような症状が現れることがあります。

咳・痰

胸の痛み

息苦しさ

発熱

声のかすれ

嚥下障害

顔・首・腕の腫れ

転移の有無

肺がんは進行すると、まわりの組織を壊しながら増殖して、他の臓器に転移することがあります。
ステージ3では、がんが肺の周りの組織や重要な臓器に広がっている、または離れたリンパ節にも転移している場合が多いのです。転移しやすい場所はリンパ節のほか、以下のような場所です。

反対側の肺

肝臓

副腎

転移の有無を調べるためには、胸部・腹部・脳のCT(またはMRI)検査をします。そして検査によって得られた画像を組み合わせることで、転移があるかどうかを判定します。

5年生存率

肺がんのステージ1では約83.3%・ステージ4では約7.1%・肺がん全体では約34.9%とされている中、ステージ3の5年相対生存率は約28.3%といわれています。

関連記事: