「肝臓がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

「肝臓がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

肝臓がんの症状とは?Medical DOC監修医が肝臓がんの症状・初期症状・末期症状・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

≫「肝臓がんの前兆となる4つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

監修医師:
飯田 綾子(医師)

2009年奈良県立医科大学卒業。大阪市立大学医学部附属病院で初期臨床研修後、大阪市立総合医療センター消化器内科レジデントを経て、大阪市立大学大学医学部附属病院肝胆膵内科で学位を取得。現在は患者さんの不安に寄り添い、何でも相談できるかかりつけ医を目指して、大阪市内のクリニックで高血圧や糖尿病など主に慢性疾患の外来や在宅診療を行っている。消化器病専門医、肝臓専門医、総合内科専門医、認定産業医の資格を有する。

「肝臓がん」とは?

肝臓がんには分類があり、肝細胞がんと肝内胆管がんに大別されます。
そのうち、肝細胞がんが94%と大多数を占めます。この肝細胞がんの原因は、C型肝炎ウイルスが最多で、次にB型肝炎ウイルス、アルコールとなっています。
近年は抗ウイルス薬や肝炎ワクチンの発達によって、ウイルス性のものは減少傾向にあり、相対的に非アルコール性脂肪肝炎や原因不明の肝細胞がんが増加している状況です。
今回は肝臓がん、特に肝細胞がんの症状について説明していきます。

肝臓がんの代表的な症状

肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、肝臓の病気は自覚症状が出にくいという特徴があります。これは肝臓がんにおいても同様で、初期の自覚症状は乏しく、がんが進行して初めて症状が出現することが多いです。
肝臓がんは基本的に慢性肝炎や肝硬変が背景にあるため、肝臓がんの症状と肝機能低下によって引き起こされるさまざまな症状と言えます。症状の種類は足のむくみ、黄疸、腹水、肝性脳症などです。ではそれぞれの症状について見ていきましょう。

黄疸

黄疸とは、肝臓の機能が低下しビリルビンとよばれる色素を代謝できなくなることで起こる症状です。白目の部分や皮膚が黄色くなったり、色のうすい便や黄褐色の尿が現れたりします。また、皮膚にかゆみを感じる方もいます。ビリルビンの数値は一般的な血液検査で確認できますので、黄疸が出ているかもと心配される方は一度かかりつけの内科や近くの病院を受診してください。

腹水・下肢のむくみ

肝臓がんの代表的な症状として、足のむくみや腹水(お腹に水が溜まること)が出ることもあります。これは肝機能の低下により、アルブミンという肝臓で合成されるタンパク質が減少してしまい、血管内に水分を保つことができないために起こります。血管内に水分をとどめておけないために、血管外のスペースである足の組織や、腹腔内というスペースに水分が溜まります。
摂取する塩分量を少なくすることで、ある程度症状を落ち着かせることは期待できますが、完全に改善するというわけでもありません。なかなか良くならない場合は早めに、近くの医療機関を受診してください。診断は血液検査や腹部超音波検査などを行うのが一般的です。治療には利尿剤が必要となることもあります。

肝性脳症

頭がぼーっとして意識や受け答えがはっきりしなかったり、手の指が震えたりする場合、肝性脳症が出現している可能性があります。
肝性脳症とは、肝臓の解毒機能が低下するために血液中のアンモニアなどの濃度が上昇することで発症します。
便秘やタンパク質の多い食事、消化管(食道や胃、腸など)からの出血で症状が悪化します。
便秘にならないように排便コントロールをしっかりと行い、分枝鎖アミノ酸製剤という薬剤を用いて再発しないように注意する必要があります。
肝性脳症を疑う症状が出た場合は、早急な対応が必要ですので早めに受診してください。専門の診療科は消化器内科や肝臓内科です。

胃食道静脈瘤

肝臓がんが発生する肝臓は、すでに肝硬変の状態となっていることが多いです。そして肝硬変では食道や胃に静脈瘤ができることがあります。
静脈瘤とは、肝臓が硬くなることで、肝臓を栄養する門脈という重要血管に血流が流れないようになり、それを補うように胃や食道の表面に側副路(本来の血流を補うように発達した別の血流路)を作って、血液が逆流してしまっている状態です。
静脈瘤それ自体には症状がないのですが、破裂すると大量に出血します。
気付かないうちに肝臓がんや肝硬変が進行していた場合、突然の吐血で発症し、そこで初めて肝臓の状態に気づくということもあります。
吐血や黒色便(便に黒いものが混じった状態)を認めた場合は、緊急止血術や輸血といった治療が必要になることもあるので、すぐに救急外来を受診してください。

代表的な症状