「肝臓がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

「肝臓がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!

肝臓がんの前兆となる初期症状

肝臓がんの代表的な症状を示しました。では、肝臓がんの前兆となる症状はどんなものがあるのでしょうか?

倦怠感

肝機能が低下すると食欲が出ない、疲れが取れにくいなど倦怠感が現れます。肝機能の低下は血液検査で見つけることができます。禁酒、バランスの良い食事や、睡眠をよくとるなど生活習慣を見直しても倦怠感が続く場合は、一度かかりつけの医療機関を受診することをおすすめします。

こむら返り

こむら返りの原因はさまざまですが、肝硬変ではこむら返りがよく起こります。激しい運動をしたわけでもないのによく足がつるといった症状の方は、一度血液検査で肝臓の数値を見てもらうことをおすすめします。

右脇腹、みぞおちの横あたりの痛み

右季肋部(右脇腹、みぞおちの横あたり)の鈍い圧迫するような痛み、そして倦怠感や微熱といった症状が出ることがあります。
これは進行した肝臓がんで見られることがあり、厳密には初期症状ではないのですが、このような症状が肝臓がんを見つけるきっかけになることがあります。
早めにかかりつけを受診してください。

肝臓がんの末期症状

最後に肝臓がんの末期症状をお話したいと思います。
肝臓がんの症状は「がん」そのものによる症状よりも「肝機能の低下」による症状だと最初に述べました。肝臓がんの末期とは、がんに有効な治療がなく、いままで薬剤などで何とかコントロールできていた種々の症状が、コントロールできなくなった状態と言えると思います。また骨転移による痛みなど、転移による症状を伴うこともあります。

急激な体重減少

肝臓がんが進行して肝機能がさらに低下したり、がんが肝臓を主に栄養する血管に浸潤した場合、腹水が増加することがあります。大量の腹水のために胃が圧迫され、食事がとれなくなってきます。
対応策としては利尿薬を使用して尿から水分を排出することもありますが、大量にたまった腹水を利尿剤だけでなくすことは困難な場合が多いです。そのため、症状の緩和を目的に、注射器で直接腹水を抜くこともあります。
食事がとれなくなった場合は早めに医療機関を受診してください。

吐血・下血

先述のように肝硬変が進んで胃や食道に静脈瘤ができていた場合、急に破裂して大量に出血することがあります。肝臓がん末期での静脈瘤破裂は、たとえその後の緊急治療で止血できたとしても、肝機能がさらに低下してしまうため命に関わることもあります。
吐血、黒色便を認めた場合は、すぐに救急外来を受診してください。

急な激しい腹痛

肝臓がんがお腹の中で破裂した場合、急に激しい腹痛を伴うことがあります。早急な止血処置が必要となるため救急を受診してください。

肝性昏睡

肝臓がんのために肝機能がどんどん低下していくと、アンモニアなどがうまく解毒されず、アンモニア血中濃度がさらに高くなります。少しぼーっとする程度の脳症であれば、先に述べたように、分岐鎖アミノ酸製剤を投与したり、排便コントロールを行ったりすることで改善が期待できます。しかし肝臓がんの末期では、ひとたび脳症になるとそのまま昏睡状態となることもあります。このような状態になるまでにはいくらかの治療段階を踏んでいると思います。積極的な治療が困難なことも多いと思いますが、ご家族が受診を希望される場合は救急を受診させてください。