「甲状腺がんの症状」はご存知ですか?原因についても解説!【医師監修】

「甲状腺がんの症状」はご存知ですか?原因についても解説!【医師監修】

「甲状腺」といわれても、どこにあってどのような働きをする臓器なのかすぐにわからない方も多いのではないでしょうか。

甲状腺とはのどぼとけの下にある蝶が羽を広げたような形の臓器のことです。体の新陳代謝を促進する働きがある「甲状腺ホルモン」を分泌しています。

この記事ではその甲状腺のがんについて、症状や原因とどのような検査をするのかなどを解説します。合わせて甲状腺がんに関してよく聞かれる質問も載せているので参考にしてください。

≫「甲状腺がんを放置する」とどうなるかご存知ですか?症状や治療法も解説!

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。

甲状腺がんとは

甲状腺にできた腫瘍を甲状腺結節と呼びます。腫瘍には良性と悪性がありますが、悪性のものが甲状腺がんです。甲状腺がんには大きく分けて2つの種類があります。1つは、甲状腺の細胞ががん化する原発性甲状腺がんです。
もう1つは、体のほかの部位で発育したがんが甲状腺に転移して起きるために転移性甲状腺がんと呼ばれています。原発性甲状腺がんは、さらに「乳頭がん」「濾胞がん」「髄様がん」「未分化がん」「悪性リンパ腫」に分かれます。乳頭がんは顕微鏡で見た時に乳頭状の構造に見えることから乳頭がんと名づけられたがんです。
日本のように海藻をよく食べる地域(ヨード充足地域)では、甲状腺がんのうち90%以上が乳頭がんといわれています。女性が発症する割合が多く、年代は10代~80代と幅広いです。甲状腺の周囲の臓器に浸潤することもありますが、一般的に成長が遅いことが特徴です。濾胞がんは甲状腺がん全体の中で、約5%の割合となります。
乳頭がんと同じく年齢を問わず起き、どちらかというと女性が発症することが多い傾向です。髄様がんは甲状腺ホルモンを作り出す濾胞細胞からできる乳頭がんや濾胞がんと異なり、カルシトニンという物質を分泌する傍濾胞細胞から発生するがんで、甲状腺がん全体の1~2%と発生率が低めになります。
未分化がんは全体の1~2%と発生率はまれですが、予後があまりよくなく進行も割と早めなことが特徴です。65歳以上に多く、男女比はほぼ1対1と他の甲状腺がんと比べて男性の割合が比較的多くなっています。悪性リンパ腫はリンパ球由来の悪性腫瘍です。未分化がんと同様に発生率はそれほど高くありませんが、高齢者が多く発症する傾向があります。

甲状腺がんの症状

甲状腺がんでは具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。一般的にあまり症状がないといわれていますが、進行するとのどの違和感・嗄声・誤嚥などが起きることがあります。
以下で具体的に見ていきましょう。

のどの違和感

腫瘍ができることでのどが圧迫され、ものを飲み込むときに違和感を覚えることがあります。

嗄声

甲状腺がんが声帯を動かす反回神経や気管・咽頭に広がっていくと、声が嗄れることがあります。咳が出たり、さらに進行すると呼吸困難を引き起こしたりすることもあるのです。

誤嚥

がんが食道に浸潤すると、ものを飲み込むときの違和感に加えて嚥下障害を起こすこともあります。

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