「心臓病の種類」はご存知ですか?初期症状や原因も医師が徹底解説!

「心臓病の種類」はご存知ですか?初期症状や原因も医師が徹底解説!

心臓病の代表的な症状

胸痛

心筋梗塞や狭心症だけでなく、心不全や心臓弁膜症などの疾患でも、冠動脈の血流が低下してしまうと胸痛を生じます。典型的な心臓の血流障害の症状としては、胸の中心~左側の締めつけられる様な、押しつぶされるような強い胸痛であり、冷や汗を伴うような強い症状であり、左肩~顎や奥歯まで苦しくなる放散痛を伴うことも多いです。
動いた時だけの胸痛なのか、安静時にも出現するのか、持続する時間、放散痛の有り無しなどは診断のために非常に重要な情報です。
数分で改善しないような強い胸痛の場合は、緊急性の高い状態となっている可能性が高く、速やかな救急要請が必要です。
もし短時間で落ち着いたとしても、それまでなかった症状が出現している際には早期の循環器科受診が必要です。

動悸

不整脈が出現した際には、動悸が出現することが多いです。
ただ、動悸と一言で表現しても、さまざまな症状を動悸と表現することがあります。そのため、動悸の場合には①脈が速い状態なのか、②脈の乱れなのか、③脈が速くも乱れてもいないが鼓動だけ強く感じるのか、という①~③のどのタイプの動悸なのかをはっきりさせる必要があります。
もし、自分で動悸を自覚した場合には、下記の確認をして頂くことが大切です。

①脈の速さは1分間で何回か(時計などを見てチェックする)

②脈のリズムの異常はないか

また、不整脈には大きく分けて下記のような3つのタイプ(又は組み合わせたもの)があります。

①脈が速くなるタイプ

②脈が遅くなるタイプ

③リズムが異常となるタイプ

不整脈では動悸や胸の違和感を自覚することが多いですが、動悸以外に胸痛や強い呼吸苦症状を伴う場合には緊急性が高い可能性があるため、救急要請も検討が必要です。
短時間で改善する、症状はあるが軽い場合には早めに循環器科を受診することを検討しましょう。
強い動悸やめまい・ふらつき・失神などの症状がある際には、無理に動かず、横になって楽な姿勢を取り、速やかに救急要請をする必要があります。

息切れ、呼吸の苦しさ(呼吸困難感)

心不全症状を引き起こした場合に生じやすいのですが、心不全症状はさまざまな心疾患で引き起こされるため、弁膜症や心臓の血流障害、不整脈など、多くの心疾患の可能性を評価する必要があります。
心不全症状での典型的な呼吸苦症状は、横になった際に心負荷で肺にたまった胸水が肺全体に広がるため呼吸の苦しさが悪化し、体を起こすと楽になる起坐呼吸という症状があります。胸痛や動悸、息切れなどの症状が徐々に出現してくることもあるため、年のせいと思って様子を見られてしまうこともあります。それまでできた動作で症状が出現するようになった際には、一度病院を受診して相談することが必要です。

めまい、ふらつき、失神

脈がゆっくりとなる不整脈や、弁膜症、心不全などで出現することがあります。
症状を自覚したら、まずは転倒・失神などをしないように座り込むか横になりましょう。
そして可能であれば自分で脈をチェックし、脈の速さの異常や乱れがないかを確認してください。
脈がゆっくりになり過ぎる不整脈が原因の場合には、ペースメーカー埋め込み術などが必要となることがあります。
失神まで起こす場合は、緊急での処置を必要とする状態の可能性もあるため、できる限り速やかな受診が必要です。
心臓病が原因の失神は、徐々に気が遠くなるというよりは、突然ブツンと意識がなくなる、気がついたら倒れていたというタイプの症状が多いため、このような症状では特に注意が必要です。

心臓病の主な原因

動脈硬化

多くの心疾患は動脈硬化が原因となります。
動脈硬化とは、血管が固くなり、血管内部に脂質を主成分とした塊(プラーク)がたまった状態です。このプラークが増えると血管内の血液の通り道が狭くなって血流が低下します。病状が進むと血管が詰まる可能性があり、冠動脈にこれが起こると心筋梗塞という状態になってしまいます。
血圧やコレステロール、血糖の管理などが悪いと動脈硬化が進みます。食事や運動などの生活習慣が動脈硬化に大きな影響を与えます。現時点で高血圧症や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病にかかっている方は、これ以上病状を悪化させないことが重要です。また、発症しないように生活習慣を改めることも大事です。

遺伝

心臓病の中には、遺伝的な要因が原因となることがあります。

・不整脈を起こりやすくする疾患(Brugada症候群やQT延長症候群)

・特殊な心筋症(Fabry病など)

・血液を固める成分(凝固因子)の異常(若年での心筋梗塞や血栓症)

などがあります。
親族内で若くして突然亡くなってしまったり、若年で心臓病を患ったことがある人が多い場合には注意が必要です。

関連記事: