「大人の骨髄腫の症状」はご存知ですか?骨髄腫ができやすい部位も解説!【医師監修】

「大人の骨髄腫の症状」はご存知ですか?骨髄腫ができやすい部位も解説!【医師監修】

骨肉腫の治療

それでは、以下より骨肉腫の治療について解説します。

手術

骨肉腫の治療において、手術の主な目的は、腫瘍細胞を全て除去することです。これを達成するためには、腫瘍周囲の正常な骨や筋肉を含めた「広範切除」が必要となることがあります。腫瘍を取り囲む健康な組織とともに切除することで、腫瘍細胞の残留を極力避けます。
骨肉腫が発生した部位によっては、患肢(手足)の温存が可能な場合もあります。現在の手術技術と画像診断の進歩により、重要な血管や神経を保持しつつ、腫瘍を含む骨や筋肉を切除できるようになっています。患肢の温存が可能な症例では、機能的な回復を目指し、人工関節の挿入や移植骨による再建が行われることが多いです。
しかし、腫瘍が重要な神経や血管を含んでいる場合、または骨や関節の切除範囲が大きすぎる場合には、患肢の切断を選択することもあります。時には義肢の使用を含む切断が、患者の生活の質(QOL)や活動度を高める選択となることもあります。
手術におけるこれらの選択肢に関しては、患者やその家族に対して十分な説明と理解を促し、慎重に決定されるべきです。患者の意向を尊重しつつ治療方針を選択することが重要です。また、手術以外にも、抗がん剤治療や放射線治療が併用されることがあります。特に骨肉腫の場合には、手術前後の化学療法の併用が一般的で、治療期間は半年から1年程度を要することが多いです。

抗がん剤治療

骨肉腫の治療における抗がん剤治療は、手術と併用されることで病気の根治を目指します。治療の一環として、メトトレキサート、塩酸ドキソルビシン、シスプラチンを組み合わせたMAP療法が広く採用されており、これらの薬剤は手術前後に約8~10ヶ月間にわたって投与されます。
抗がん剤治療を手術前に行うことのメリットは複数あります。まず、腫瘍のサイズを縮小し辺縁を固めることで、患肢の温存が可能となる確率が高まります。また、術前の抗がん剤治療により、どの薬剤が患者にとって効果があるかを判断し、術後の治療方針を決定するための重要な情報が得られます。さらに、骨肉腫は早期に肺転移を起こすことが多いため、抗がん剤治療は遠隔転移のリスクを抑える可能性を高めます。
抗がん剤治療には副作用も伴います。副作用には貧血や白血球減少がありますが、腎障害や肝機能障害、心臓障害などの慢性的な副作用も起こり得ます。特に、シスプラチンとイホスファミドは妊孕性に影響を与える可能性があるため、思春期以降の患者には治療開始前に精子凍結保存についての説明が行われます。
このように、骨肉腫の抗がん剤治療は、患者の治療計画において非常に重要な役割を果たしています。ただし、副作用のリスクに注意を払いながら、専門的な施設での適切な管理と治療が必要です。

放射線治療

骨肉腫において、放射線治療は主要な治療手段とはされていません。これは骨肉腫が放射線治療に対して反応しづらい腫瘍の一種であるためです。しかし、特定の状況下では放射線治療が治療の一環として用いられることがあります。例えば、脊椎や骨盤などの部位に発生した骨肉腫で、広範切除が難しい場合には、粒子線治療が検討されることもありますが、基本的には、抗がん剤治療と外科手術が主要な治療法です。

骨肉腫についてよくある質問

ここまで骨肉腫を紹介しました。ここでは骨肉腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

骨肉腫ができやすい部位はどこですか?

甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫は、特に若年層において足の膝周辺に発生することが多い疾患です。この病態において、膝の周囲に腫瘍が形成されることが70~80%の頻度で報告されています。また、肩の上腕骨付近にも腫瘍が形成されることがあります。初期段階では特有の症状が見られないことが多く、肉腫が成長して周囲の筋肉や骨に影響を与え始めると、骨折や膝周囲の腫れ、発熱感などが現れます。

骨肉腫の予後を教えてください

甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫の治療成果は、近年進展した治療法により大きく改善しています。かつて、補助的な化学療法が行われる前の段階では、5年生存率は約30%から40%と低かったのですが、現在では化学療法の導入により、約50%以上に上昇しています。また、初診時に転移が確認されていない患者の場合、生存率は約70%に達するとされています。
しかしながら、予後に影響を及ぼす要因は複数存在します。これには、がんの発生部位(特に体幹部で発生した場合は予後が悪い)、腫瘍の大きさ、化学療法に対する反応の度合い、そして何よりも転移の有無が含まれます。転移がある場合、特に肺転移が切除可能であれば、生存率は30%から50%程度となりますが、切除不可能な肺転移、化学療法に抵抗性の病変、または複数の骨に影響を及ぼす病変がある場合は、残念ながら予後は不良です。

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