「急性リンパ性白血病の余命」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

「急性リンパ性白血病の余命」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

急性リンパ性白血病の検査法

白血病が疑われた場合、どのような検査で急性リンパ性白血病であることを確定するのでしょうか。
今回は、骨髄検査・血液検査・画像検査・遺伝子検査という4つの検査についてまとめました。

骨髄検査

骨髄に細い針を刺して骨髄液を採取する検査です。骨髄液を顕微鏡で観察することで、白血病細胞の数・骨髄性細胞とリンパ系細胞の割合などを調べます。
骨髄性白血病の診断を行う場合はWHOにより「白血病細胞が20%以上」と明確な基準が定められていますが、リンパ性白血病では明確な国際基準はありません。
そのため、骨髄性白血病に準ずる形で20%前後を基準としている医療機関が多いです。

血液検査

採血をして、血液の成分・血球の状態を調べる検査です。白血病の場合は赤血球・血小板の減少がみられますが、白血球は増加する場合もあります。
また、顕微鏡で血液を観察すると白血病細胞を確認できることがあります。

画像検査

骨髄液の検査により白血病の確定診断が可能ですが、病気の広がり・合併症の有無・臓器の状態・浸潤の有無などを確認するために画像診断を行う場合があります。
急性リンパ性白血病の患者さんが受ける代表的な画像検査は、超音波(エコー)検査・CT検査です。

遺伝子検査

骨髄検査で採取した骨髄液では、血球の状態だけでなく遺伝子・染色体についても検査を行います。
この検査で「フィラデルフィア染色体」という異常な染色体がみられた場合は、治療方針にも影響するため重要な検査です。

急性リンパ性白血病の治療法について

急性リンパ性白血病と診断された場合、どのような治療を行うのでしょうか。
化学療法・造血幹細胞移植のほか、寛解後に始める維持療法・地固め療法についても解説します。

化学療法

急性リンパ性白血病の主な治療方法は化学療法です。白血病のタイプによって化学療法の効果に差があるため、使用する薬剤を決める際には事前に行った染色体検査の結果が役立ちます。
フィラデルフィア染色体がある場合に選ばれるのは、細胞障害性抗がん薬に分子標的薬を組み合わせた薬物療法です。
一方、フィラデルフィア染色体がない場合は細胞障害性抗がん薬のみを用います。

造血幹細胞移植

化学療法・放射線治療などで完治が難しいと判断された場合に、造血幹細胞移植を行う可能性があります。
記事の前半で解説したとおり、造血幹細胞とは血球に分化する前の幹細胞です。造血幹細胞は臍帯(へその緒)・骨髄に豊富に含まれ、採取方法により下記の3種類に分かれます。

骨髄移植

末端血幹細胞移植

臍帯血移植

いずれの場合も、移植にあたっては前処置として強い抗がん剤治療・全身放射線照射が必要です。また、移植に伴う強い免疫反応・合併症の可能性があります。
そのため、治療の前に全身状態・白血病の状態・本人や家族の希望などをききながら移植を行うか慎重に決定します。

維持療法

診断されてから症状の緩和・病気の治癒を目的に行う化学療法を「寛解導入療法」と呼ぶのに対し、寛解してから良い状態を保つために実施する治療を「寛解後療法」といいます。
寛解後療法として行われるのが、ここから紹介する維持療法・地固め療法です。維持療法は、これまでの治療でわずかに残った白血病細胞の根絶・再発予防を目的に行います。
治療には数年を要しますが、維持療法では内服による薬物療法・通院での定期的な薬物療法などを選択しながら通学・就労が可能です。

地固め療法

急性リンパ性白血病の治療では寛解導入療法・維持療法のみを行う場合もあります。
しかし、寛解導入療法の終了直後から「地固め療法」を行うと寛解持続率が上がるとの研究結果から、地固め療法を行う場合が多いでしょう。
地固め療法では薬物療法を追加で行い、白血病細胞のさらなる減少を試みます。また、白血病は中枢神経に浸潤する可能性が高いため、抗がん剤の髄腔内注射・放射線療法を行い浸潤を予防する場合もあります。

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