男性こそ子宮頸がん予防の「HPVワクチン」接種がおすすめな理由【医師解説】

男性こそ子宮頸がん予防の「HPVワクチン」接種がおすすめな理由【医師解説】

子宮頸がんワクチン・HPVワクチン接種の注意点とは? 費用は何歳まで無料?

編集部

ワクチンを接種するにあたり、注意点はありますか?

佐藤先生

HPVワクチンは新しい感染を予防するものであり、すでに感染したHPVを排除する効果や発症してしまった子宮頸がんの進行を止める効果はありません。 したがって、性交渉未経験のうちに接種を終えておくことが大事です。また、接種した場合でも、100%子宮頸がんを予防できるわけではないため、定期的な子宮頸がん検診を怠らないようにしましょう。

編集部

ワクチンの副反応も気になります。

佐藤先生

HPVワクチンに特化というより多くのワクチンに共通する副反応として、接種部位の痛みや腫れ・かゆみのほか、筋肉痛・関節痛、頭痛、発熱などが出る場合があります。これらはしばらく安静にしていれば改善するケースがほとんどですが、心配な場合は接種を行った医療機関や都道府県ごとに定められている協力医療機関に相談することもできます。

編集部

費用についても教えてください。

佐藤先生

医療機関やワクチンの種類によって異なります。自費の場合は、2・4価ワクチンだと1回あたり約1万5000円~2万円程度、9価ワクチンであれば2万5000円~3万円程度です。また、小学校6年~高校1年相当の女子は、予防接種法に基づく定期接種として無料接種ができます。さらに、2013年からしばらくの間は厚生労働省が接種推奨を差し控えていたため、接種機会を逃した方もいらっしゃると思います。その方々はキャッチアップ接種の対象となりますので、厚生労働省のホームページで確認してみてください。

2価
4価
9価

定期接種の対象
小学校6年~高校1年相当の女子
小学校6年~高校1年相当の女子・男子
9歳以上の女性

費用
約1万5千~2万円×3回
約1万5千~2万円×3回
約2万5千~3万円×3回

(※15歳未満に9価ワクチンの初回を打った場合、接種回数は2回で良い。対象者は公費で無料接種)

編集部

無料接種になる場合もあるのですね。

佐藤先生

はい。現時点では女子だけですが、例えば中野区は2023年8月から、小6~高1の男性向けに助成を始めています。さらに、それをうけて東京都が費用の負担を検討すると発表しました(2024年1月現在)。また、先ほども述べたようにキャッチアップ接種の対象者の方はぜひ厚生労働省のホームページなどを確認しましょう。ここで注意していただきたいのは、現時点でキャッチアップ接種の期限は2025年3月までとなっています。それまでに3回の接種を終えるためには、2024年の9月までに1回目を打つ必要がありますので、対象となっている方はぜひ早めの接種を検討していただけたらと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

佐藤先生

子宮頸がんは若い世代での発症が多いがんです。子宮頸がんで亡くなった方は、子どもがまだ幼いことが多いため、マザーキラーと呼ばれるほどです。早期発見できれば治療も可能ですが、子宮を摘出しなければならなかったり、定期的な通院を強いられたりなど、日常生活に大きな影響を与えます。やはり予防が重要なので、ワクチン接種がとても大事です。しかしながら、例えばオーストラリアのワクチン接種率は8割を超えているのに、日本は1割程度で、罹患率も増えています。特に男性は「どこで接種すればいいか分からない」という人も多いかと思いますが、レディースクリニックや耳鼻咽喉科などでも対応していますので、近くのクリニックに尋ねてみてください。

編集部まとめ

HPVワクチンについて、医師に解説していただきました。子宮頸がんはワクチンで予防できるがんであり、男性もワクチン接種が推奨されていることに加えて助成制度が徐々に拡大されています。特にキャッチアップ接種の対象となる方は、早めの接種開始をおすすめします。分からないことがあれば、ぜひお近くの医療機関へ相談してみましょう。そして、ワクチンだけでなく、定期的な検診も忘れずに受けてください。

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