「狭心症の治療法」はご存知ですか?治療期間・予防法も医師が徹底解説!

「狭心症の治療法」はご存知ですか?治療期間・予防法も医師が徹底解説!

狭心症の治療薬

狭心症に用いられる治療薬は以下のとおりです。

抗血小板薬

抗血小板薬は、血液を凝固させる血小板の働きを抑制させることで、血液をサラサラにする効果があります。
代表的な薬品は「バイアスピリン」「プラビックス(クロピドグレル)」「エフィエント」などがあり、成人1日1回1錠を服用します。カテーテル治療を行った際には数ヶ月に渡って抗血小板薬を2剤併せて服用するのが一般的です。

β遮断薬

β遮断薬は、心拍数や心筋の収縮を抑えることで、心臓の酸素消費量を減らし狭心症の発作を抑える効果があります。
代表的な薬品は「アーチスト(カルベジロール)」「メインテート(ビソプロロール)」などがあり、アーチストは成人では1日2回食後の服用、メインテートは1日1回食後の服用が一般的です。用量については主治医判断のもとで段階的な増減があります。
また、動脈硬化により血管が狭くなることでおきる労作性狭心症とよばれるタイプの狭心症に効果があると言われていますが、血管が痙攣して狭くなることでおきる狭心症(冠攣縮性狭心症)では使われません。

血管拡張剤・硝酸剤

血管拡張剤は、狭い部分も含め冠動脈を広げることで血液の流れを安定させる効果があります。
代表的な薬品名は1日3回服用の「シグマート(ニコランジル)」、1日2回服用の「アイトロール(硫酸イソソルビド)」などがあります。
頻回の内服が難しい場合には「フランドルテープ(硫酸イソソルビドテープ)」「ニトロダームTTS(ニトログリセリン)」といった貼付剤を使用することもあり、1日に1枚貼りかえるのが一般的です。
狭心症の発作が起きたときには、ニトログリセリンの舌下剤や噴霧剤(ミオコールスプレー)の使用が効果的です。

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は、血管がけいれんを起こし発症する、冠れん縮性狭心症の第一選択薬として使用されます。「コニール(ベニジピン)」「アダラート(ニフェジピン)」「ヘルベッサー(ジルチアゼム)」などが代表的な薬品名です。
冠攣縮性狭心症の発作予防のために血管拡張剤・硝酸剤と併せて使用されます。

狭心症の手術内容

狭心症の代表的な手術方法を以下でご紹介します。

経皮的冠動脈ステント留置術

経皮的冠動脈ステント留置術とは、細くなった冠動脈を拡張させるため血管にカテーテルを送り込み、病変部にステントを留置することで血管の拡張を保ち血液の流れを安定させる最も一般的な術式です。
ステントには、薬が塗られていないタイプのステント(ベアメタルステント:BMS)と、薬が塗られているタイプのステント(薬剤溶出性ステント:DES)があり、DESのほうが再狭窄のリスクが少ないとされています。
カテーテル治療の入院期間は、比較的体に負担が少ないため2~3日と短いですが、血液が固まることを防ぐ「抗血小板剤」を生涯服用しなければなりません。また、病変により何回か分けて治療をおこなうこともあります。

経皮的バルーン拡張術

経皮的バルーン拡張術は、細くなった冠動脈を拡張させるため血管にバルーン付きのカテーテルを送りこみ、病変部でバルーンを膨らませ血管を拡張させる術式です。
ステントを置くことができる病変では再狭窄のすくないステント留置術が一般的ですが、ステントがおけない場所や、ステント内部が狭窄してしまった場合に行われることがあります。
ステント留置術とあわせて行われることも多く、入院期間は、2~3日です。

冠動脈バイパス術(開胸手術)

冠動脈バイパス術は、他の部位の血管(グラフト)を使用して、詰まった冠動脈の先にバイパス(迂回路)を形成して血液の流れを安定させる術式です。
狭窄の部位や数により、カテーテルでの対応が難しいと判断された場合は冠動脈バイパス術が適用されます。
冠動脈バイパス術で使用されるグラフトは、内胸動脈(LITA)・右胃大網動脈(RGEA)・大伏在静脈(SVG)が一般的で、大伏在静脈を使用する場合は足からグラフトを採取する手術を同時に行う必要があります。
以前までは、人工心臓を使用して心臓を止めて手術を行う「オンオンプ」が一般的でしたが、現在は心臓を動かしたまま手術を行う「オフポンプ」一般的です。
これにより、術後の体の負担が大幅に減少することで早ければ術後10日前後で退院できます。

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