「舌がんの原因」はご存知ですか?治療法や早期発見法も解説!【医師監修】

「舌がんの原因」はご存知ですか?治療法や早期発見法も解説!【医師監修】

ストレスやウイルス感染などの影響を受けて何かとトラブルを感じやすい口腔内は、がんを発症することもあります。

この記事では、口腔がんの中でも多い舌がんの原因について詳しく解説します。口腔内は自分で発症リスクを下げるための対策ができる場所でもあるので、舌がんの原因を知って予防や早期発見にお役立てください。

≫「舌がんの前兆となる初期症状」はご存知ですか?原因・検査法も解説!【医師監修】

監修医師:
若菜 康弘(医師)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

舌がんとは?

口腔がんとは口の中にできるがんの総称で、舌がん(ぜつがん)は口腔がんの中でも舌にできるがんを指します。舌がんの発生率は、がん全体の約1%です。
舌がんの初期症状としては、痛みのようなはっきりとした症状はあまり見られませんが、ヒリヒリやチクチクといった違和感を感じることもあります。舌の側面または裏側がただれたりしこりを感じるという変化や、色が白く変化したり赤みが強くなるという変化もあります。初期段階では口内炎と勘違いして放置してしまう可能性もあるため、2週間以上治らない口内炎がある場合は注意が必要です。
女性よりも男性に多く発症しやすいといわれており、舌がんの発症率、死亡率はともに増加傾向にあります。

舌がんの原因

舌は物理的な刺激を受けやすい複雑な部位であるため、舌がんの明確な原因は未だ明らかになっておらず、いくつかの因子が関連してがんの発生につながると考えられています。
ここからは、特に舌がんへの影響が大きいと考えられる7つの原因を紹介します。

口腔内の汚れ

口腔ケアが不十分で汚れが溜まった状態が続いていることは、舌がんの原因となり得ます。
細菌やウイルスに感染し炎症を起こしても、口腔内を衛生的に保てば1週間ほどで炎症は収まります。しかし、口腔内が汚れていると炎症部分に細菌やウイルスが供給され続け、炎症が悪化します。
感染状況が深刻になるにつれて、舌がんを誘発するリスクは高まるといえるでしょう。

舌や粘膜についた白苔

舌や粘膜には、白苔(はくたい)と呼ばれる白色の苔状物が付着します。これは皮膚でいう垢のようなもので、舌の動きが低下すると付着しやすくなります。
舌に付着する舌苔(ぜったい)は、細菌や唾液成分、食べ物のカス、剥離上皮細胞などから構成されており、歯垢よりも多くの細菌が潜んでいます。
口の中がこれらの細菌によって汚染された状態を放置すると、舌がんのリスクが高まる可能性があります。
歯や歯周病のケアと一緒に、舌のケアも取り入れてみましょう。

未治療のむし歯や歯並び

むし歯や尖った歯、傾いた歯や合わない義歯などを治療せずにいると、鋭利になった歯が舌を傷つける可能性があります。
食事や会話で舌を動かす時だけでなく、そういった歯が舌にあたって慢性的に擦れていると炎症を起こしやすくなります。
また、むし歯の周辺は汚れや菌が溜まりやすい状態です。繁殖した細菌が炎症や口内炎を悪化させ、舌がんへとつながる恐れがあります。

口腔内の乾燥

加齢やストレスなどによる唾液分泌量の低下で口腔内が乾燥することも、舌がんの原因といえるでしょう。
唾液には自浄・抗菌作用があるため、唾液の減少は口腔内の衛生にとって良くありません。
特に舌は乾燥の影響を大きく受ける部位です。舌苔が付着しやすくなり、細菌やウイルスの繁殖が増長してしまうので、水分補給や夜間の湿度管理が大切です。

飲酒

発がんリスクを高める生活習慣の1つは飲酒です。日頃飲酒をしない方よりも飲酒を習慣にしている方のがん発生頻度が高いことは、過去の症例から明白です。
お酒の種類によってアルコールの量は異なりますが、一般的に1日2合以上の飲酒が日常化している方は、舌がんに限らずがんのリスクが高いといわれています。飲酒量には注意しましょう。

喫煙

喫煙による発がんリスクの高さもよく知られています。
喫煙による舌への慢性的な化学的刺激と、煙に含まれる発がん性物質が舌がんにも影響を及ぼすでしょう。
飲酒と喫煙の両方を習慣にしていると、リスクはより高まるでしょう。喫煙が体に及ぼす影響は非常に深刻であることを覚えておきましょう。

歯周病

歯周病は全身疾患と密接に関わっていることが明らかになっています。
歯周病の原因菌が口腔がんの患者さんからも多く検出される傾向にあるため、口腔がんとの関連性も高いと考えられています。
歯周病菌が舌にできた傷を刺激して炎症を起こす可能性もあるため、歯周病の予防や対策は舌がんにとっても重要です。

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