「神経膠腫(悪性脳腫瘍の一種)の余命」はご存知ですか?原因や治療法も解説!

「神経膠腫(悪性脳腫瘍の一種)の余命」はご存知ですか?原因や治療法も解説!

神経膠腫の余命

神経膠腫の余命は患者さんの年齢、腫瘍の種類、治療によって異なります。以下で解説していきます。

グレード1

グレードIの神経膠腫は良性であり、適切な治療を受けることで生存期間中央値は約8〜10年に達し、5年生存率は約95%です。ただし、良性の神経膠腫も経過中に悪性化する可能性があり、定期的なフォローアップが重要です。神経膠腫の診断と治療は、患者さんの年齢、腫瘍の特性、健康状態を考慮して行われます。

グレード2

神経膠腫のグレード2に分類される腫瘍は低悪性度ですが、治療後の予後は患者さんによって大きく異なります。適切な治療を受けた場合の5年生存率は約70%で、平均生存期間は約5〜10年程度とされています。しかし、患者さんによっては更に長期にわたり再発なく生存することもあれば、逆に経過中に悪性度が高まることもあります。若年者、腫瘍の全摘出が可能な症例、症状が軽い患者さんでは、より良い経過を示します。

グレード3

グレード3の神経膠腫、特に退形成星細胞腫の場合、生存期間中央値は約3年で、5年生存率は約30〜40%とされています。ただし、病理組織の所見がグレード2に近い場合やグレード4に近い場合では、生存期間が大幅に異なる可能性があります。
グレード3の神経膠腫は複数の治療方法を試しても予後が不良なことが多く、WHO分類においても悪性度が高いとされています。そのため、患者さんの症状や腫瘍の特性に応じた包括的な治療アプローチが重要となります。患者さんの生活の質を考慮しつつ、適切な治療計画を立てることが求められます。

グレード4

神経膠芽腫(グレード4の神経膠腫)は、予後が厳しいとされています。平均生存期間は約1年半で、2年生存率は約30%以下、5年生存率は約10%以下です。しかし、全摘出が可能な例や、テモダール(テモゾロミド)による治療では、長期生存も報告されています。年齢が若い患者さんや自立度の高い患者さんは予後が良い傾向にあります。
また、分子マーカーとしてのIDH1/2変異の有無やMGMTのメチル化は、予後に関わる重要な因子です。グレード4の神経膠芽腫は、積極的な治療を行っても予後が不良なため、高齢者や全身状態が悪い患者さんに対しては、治療の選択を慎重に行う必要があります。患者さんの生活の質や希望に合わせた治療計画を立てることが重要です。

神経膠腫についてよくある質問

ここまで神経膠腫の症状を紹介しました。ここでは神経膠腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

神経膠腫のステージを教えてください。

勝木 将人 医師

神経膠腫の悪性度は、グレード1から4までの4段階で分類されます。グレード1は良性で、手術できれいに摘出できれば再発の可能性が非常に低いです。代表的なグレード1の神経上皮性腫瘍には、子どもの小脳や視神経に発生する毛様細胞腫があります。
グレード2〜4の神経膠腫は、乏突起膠腫、星細胞腫、膠芽腫に大別され、グレードが高くなるにつれて悪性度が増します。グレード2と3の神経膠腫は手術、放射線治療、化学療法などの組み合わせによって治療されますが、再発の可能性があります。
悪性度が高いグレード4の膠芽腫は、脳腫瘍の中でも特に急速に進行し、治療が非常に難しいことで知られています。膠芽腫は浸潤性が高く、再発が多いため、完治は困難であり、平均寿命は術後1〜2年とされています。
グレードによって、治療方針や予後が異なるため、正確な病理診断が治療計画の策定には不可欠です。悪性度が高い神経膠腫では、病状の進行や再発に対する治療だけでなく、緩和ケアの導入も重要になります。

神経膠腫の予防法はありますか?

勝木 将人 医師

現在のところ、神経膠腫の予防法は存在しません。神経膠腫の発生には、遺伝的要素が関与する場合もありますが、多くの症例によると、遺伝は主要な原因ではないとされています。また、特定の生活習慣や嗜好品が神経膠腫の発生に直接関係しているという明確な証拠は現在のところありません。若年期に頭部への放射線治療を受けた人では、神経膠腫の発生リスクが若干高まるとされています。
検診で神経膠腫の検査は行われていませんが、脳ドックなどのMRI検査によって無症状の段階で偶然発見されるケースもあります。何らかの神経学的な症状がある場合は、脳神経の病院を受診することをお勧めします。

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