「急性リンパ性白血病の原因」はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

「急性リンパ性白血病の原因」はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

急性リンパ性白血病とは子どもに多い血液のがんの一つで、大人が発症する例は稀です。大人の1年間の発症率は10万人に1人といわれています。

急性リンパ性白血病は原因不明で、骨髄の中で血液が作られる過程に問題が生じ、体にさまざまな問題を引き起こします。

正常な血液の機能が障害されるためさまざまな症状が生じますが、免疫力の低下により肺炎などの感染症状や貧血が主にみられるでしょう。

診断は血液検査や髄液検査により診断されることが多く、治療は抗がん剤を使った入院治療が主になりますが、良好な結果が得られない場合には骨髄移植なども考慮します。

今回は、急性リンパ性白血病について解説します。

≫「急性リンパ性白血病の余命」はご存知ですか?検査・治療法も解説!【医師監修】

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

急性リンパ性白血病とは

急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia: ALL)は血液のがんで、子どもに多く発症します。10万人あたりに年間1人程度発症するといわれています。
子どもでの発症は急性骨髄性白血病に次いで多く、治療をしなければ短期間で命の危険にさらされる病気です。
ヒトの体の中にある血液は、骨髄の中にある造血幹細胞と呼ばれるいわば血液のもとを作る細胞から分化して赤血球・白血球・血小板などが作られます。それぞれの血液細胞の主な働きは以下の通りです。

赤血球:主に酸素と結合して細胞に届ける

白血球:ウイルスや細菌などの病原体から身体を守る免疫の中枢

血小板:出血を止める機能がある

その製造過程である分化の途中で異常が発生し、成長が止まってしまい、正常な血液細胞が作られなくなってしまうのです。この急性リンパ性白血病は、リンパ球と呼ばれる血液細胞の分化途中であるリンパ球に異常が起こるためこのような名前になっています。

急性リンパ性白血病の原因は?

では急性リンパ性白血病の原因は一体どのようなものなのでしょうか。詳しく解説しましょう。

はっきりした原因は不明

血液を作る造血幹細胞やその前駆細胞に遺伝子異常を引き起こす原因としては、ウイルス感染・放射線治療・化学物質・抗がん剤を使用したことがあることなどが考えられていますが、詳しい原因ははっきりとせず、いまだに不明です。

ウイルス感染によるもの

急性リンパ性白血病の原因については明らかではありません。ただし原因として、血液を作る過程で血液細胞の染色体や遺伝子の異常が起こるためではないかと考えられています。
何かのウイルスに感染したことにより、血液細胞の遺伝子に影響が与えられてさまざまな異常が積み重なり、血液細胞の成長が滞って白血病の原因となる可能性があります。

抗癌剤や化学物質によるもの

抗がん剤の治療の影響で、将来的にがんの発症する確率は1〜3%上がるといわれています。そのため、過去に他の臓器に対する抗がん剤治療をおこなった場合にも、二次がんとして起こる可能性があります。
しかし、抗がん剤の使用は生命にも関わるため、二次がんを防ぐ選択として治療を弱めるということはとても難しいでしょう。

放射線治療によるもの

放射線治療により、周囲の組織も被曝し遺伝子異常を起こします。そのため、急性リンパ性白血病の発症以前に何らかの理由で放射線治療を受けた場合には、それらの影響も考えられます。

関連記事: