「急性リンパ性白血病の原因」はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

「急性リンパ性白血病の原因」はご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

急性リンパ性白血病の症状

では急性リンパ性白血病の症状とは一体どのようなものなのでしょうか?
急性リンパ性白血病に犯された血液細胞は未熟な状態のため、これらの機能に異常が認められることでさまざまな症状が現れます。具体的にどのような症状が出るのか、解説しましょう。

ふらつきや身体のだるさ

急性リンパ性白血病は血液細胞が新しく作られる過程で障害が起こるものです。血液細胞のうち、赤血球の働きである臓器や細胞に酸素を運ぶという役割が障害されます。
そのため症状としては、ふらつきや身体のだるさといった貧血のような症状が現れることがあります。

貧血・出血が目立つ

前項でもお話ししたように、血液細胞のうち赤血球が作られる過程の障害により赤血球の通常の機能が損なわれます。そのため身体中が酸素不足になり貧血を起こしやすくなります。
また血液細胞の一種である血小板の機能が障害されることにより、出血を止める機能が低下します。そのため出血が止まらず、鼻血・歯肉出血・皮下出血などの出血が目立ちやすくなるのも特徴です。

リンパ節と内臓の腫れ

急性リンパ性白血病では、造血幹細胞という血液細胞のもととなる細胞から成長していく過程において、十分に成長できなかった白血病細胞という細胞ができます。その白血病細胞がリンパ節や内臓に蓄積することにより、腫れたり、しこりを感じることがあります。
またその白血病細胞が、骨髄内に蓄積すると骨に痛みを感じることもあるでしょう。

急性リンパ性白血病の診断について

ではここで、急性リンパ性白血病と診断されるにはどのような検査データが見られるのでしょうか?
例えば血液検査では、白血球の値が異常に多かったり少なかったりと両方の結果が認められます。同時に赤血球・血小板の数は減少していることがあるでしょう。そのため血液検査だけではなく、骨髄検査や染色体検査・遺伝子検査などを行い治療方針を決定します。
今回はこれらの検査について、そして白血病の分類方法についても解説しましょう。

骨髄中の芽球数で判断

診断する際に血液検査でははっきりとしない部分については、骨髄検査も行われます。主に2つの染色法で骨髄中の芽球数を調べます。

メイギムザ染色法:細胞の形状を観察して未熟な細胞から成熟した細胞までを分類します。芽球数が20%以上だと急性白血病と診断されます。(WHO分類)

ペルオキシターゼ染色:陽性と判断される芽球が3%未満である場合を急性リンパ性白血病・3%以上の場合に急性骨髄性白血病と診断されます。

急性と慢性・骨髄性とリンパ性では予後や治療法なども異なってくるため、骨髄検査は非常に重要です。

病名をさらに細かく分類することがある

治療方針を決めるため、血液検査と骨髄検査の他に、染色体検査・表面抗原マーカー・遺伝子検査によって細かく分類することがあります。
急性リンパ性白血病の場合には、23対の染色体のうち9番目と22番目の染色体の間で一部が入れ替わったものをフィラデルフィア染色体とよび、この染色体の有無を調べます。フィラデルフィア染色体が見られるかどうかにより、治療方法・予後が大きく変わるため、必要に応じて染色体検査や遺伝子検査などが行われるでしょう。

その他検査も並行して行われる

急性リンパ性白血病では、造血幹細胞から血液細胞への成長が不十分な白血病細胞が脊髄や脳などの中枢神経に蓄積されることがあります。
中枢神経の機能が不十分な場合、運動神経や感覚神経が麻痺してしまう可能性があるため、中枢神経への広がりを判断するために脳髄液検査を行います。脳髄液検査は、腰から脊髄に針を刺して脳脊髄液を採取して行う検査です。

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