「大腸がん・ステージ4」の症状・余命はご存知ですか?医師が徹底解説!

「大腸がん・ステージ4」の症状・余命はご存知ですか?医師が徹底解説!

大腸がんステージ4の余命・生存率

大腸がんステージ4の余命は、一般的に生存率を用いて予想します。大腸がんステージ4ではネット・サバイバル(がんのみが死因となる状況を仮定して計算した生存率)は1年61.9%、2年41.3%、3年28.4%、4年21.0%、5年17.0%です。ステージ3では5年生存率が68.7%であることを考えると、ステージ3から4に進むことで急激に生存率が低下していることがわかります。
その他の消化器がんと比較して、大腸がんの5年生存率は高い傾向があります。大腸がんには肝臓などの転移巣を含めた病変の切除によって完治が狙える治療選択が残されていることが、予後に大きな影響を与えています。
余命の目安になる終末期の症状は、呼吸困難や食事量低下、身体のむくみ、精神状態の異常などです。その他、血液検査や介助の必要度なども参考になります。主治医の意見を聞きながら、自分の考えに合う治療方針を相談しましょう。

大腸がんステージ4の治療法

大腸がんステージ4は、原発巣(もとの大腸がんの病変)と遠隔転移巣(転移した臓器の病変)が切除可能かどうかにより治療法が変わります。

1原発巣の治療ができない場合には、薬物療法、放射線療法、対症療法となります。

2原発巣、遠隔転移巣ともに切除可能な場合には、外科手術が適応です。

3原発巣は切除できる状態でも、遠隔転移巣が切除できない場合には、原発巣の手術+転移巣の薬物療法、放射線療法が選択されます。(原発巣の症状がない場合には、手術をせず薬物療法を優先させることもあります。)

これらの治療法は患者さんの病状によって選択されます。高齢者や臓器障害(腎機能障害や肝機能障害など)がある場合は注意が必要です。ご自身の治療については、主治医に確認をしましょう。

手術

大腸がんの治療は、患者さんの病状にもよりますが、原発巣と転移巣が切除可能な場合には手術が第一選択です。手術は転移巣を含めたすべての病変を切除できれば、完治が狙える治療です。大腸がんの手術はがんから約10cm程度離して大腸の切除を行います。この際に転移の可能性のあるリンパ節の切除をし、腸管の断端をつなぎ合わせます。患者さんの状態やがんの場所により腸をつなげない場合は人工肛門(ストーマ)を作ることがあります。また、原発巣が切除できないときは、腸閉塞を予防する目的で人工肛門だけを作る場合もあります。

薬物療法

大腸がんに対しての薬物療法には、「細胞障害性抗がん剤」「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害薬」があります。
「細胞障害性抗がん剤」は、細胞が増殖することを妨げることでがん細胞を攻撃する薬です。「分子標的薬」は、がん細胞の増殖にかかわるタンパク質を標的にし、がんを攻撃する薬です。「免疫チェックポイント阻害薬」は、がん細胞を攻撃する免疫を保つ薬です。
これらの薬物を単独、もしくは組み合わせて使います。

放射線療法

大腸がんに対しての放射線療法には2通りあります。

1補助的放射線治療:切除可能な直腸がんに対し、骨盤内の再発を抑えるために術前に行われる治療です。

2緩和的放射線治療:がんによる痛みや出血、骨への転移による痛みや骨折の予防、脳転移に対しての吐き気、めまいなどの症状を改善させるために行われる治療です。

緩和ケア、支持療法

緩和ケアとは、がんに伴う身体的な痛みだけではなく、治療や仕事への心配・つらさなど精神的な痛みに対しての治療です。支持療法とは、がん自体による症状や治療に伴う副作用や合併症を抑えるための治療やケアです。両方の治療とも、患者さんの負担を和らげるために非常に大切です。
患者さんによって、年齢やもともとの身体機能、病状、ご自身の意思などで積極的な治療を選択しない場合もあります。患者さん自身や家族の希望に沿った生活を送れるようにサポートが必要です。
積極的な治療を希望されず、緩和ケアを希望される患者さんのうち、医療的なサポートが必要になる方がいます。
訪問診療や訪問看護を利用しながら自宅で過ごすことやホスピスへ入院することもできます。万が一、余命3ヶ月などと残された時間が少ないことを告げられた場合に、どのような過ごし方をご本人が希望されるかを事前に相談しておくことで、いざという時に慌てずに対応できます。事前に本人や家族がどのような希望があるか、主治医と相談することをおすすめします。

リハビリテーション

治療中や治療後には体を動かす頻度が減ってしまい、体力が低下します。医師の適切な指示の下、筋力トレーニングや有酸素運動などのリハビリテーションをすることで回復力を高め、残っている身体機能の維持や向上を目的に行われます。

関連記事: