下肢の静脈が逆流することで起こる「下肢静脈瘤」になりやすい人には特徴があるようです。具体的にどんな人がなりやすいのか、医師の橋本先生にお聞きしました。
監修医師:
橋本 千尋(さいたま静脈瘤クリニック)
獨協医科大学医学部卒業。その後、獨協医科大学病院循環器内科入局、民間医療機関勤務。2021年、埼玉県川口市に「さいたま静脈瘤クリニック」を開院。下肢静脈瘤を専門に扱うクリニックとして、患者さんのQOLの向上に努めている。日本循環器学会専門医、日本脈管学会脈管専門医、日本内科学会認定医、下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による実施医。
編集部
一般に、立ち仕事の多い人は「下肢静脈瘤」になりやすいと聞きます。
橋本先生
はい。立ち仕事のなかでも立ちながら動き回る人よりも、立ちっぱなしの人が下肢静脈瘤になりやすい傾向にあります。足を動かすことにより足のふくらはぎの筋肉が「第2の心臓」の代わりになって、血液を心臓に押し戻しているからです。
編集部
問題は、第2の心臓が動かない「立ちっぱなし」の姿勢なのですね?
橋本先生
そうですね。患者さんで多いのは、板前さんや理美容師さんといった職業の人です。ほか、デスクワークで「座りっぱなし」で足の筋肉を動かしていない人もいらっしゃいます。総じて、心臓から足へ送られた血液がうまく戻ってこない人に顕著な症状です。
編集部
血液が戻れないから、行き場を失ってコブになってしまうのですか?
橋本先生
下肢静脈瘤発祥のメカニズムは、明らかになっていません。しかし、一般的なイメージとしては、そういう理解で構わないと思います。ただし、「コブが目立たないタイプ」の静脈瘤もあります。また、コブにもならず、足にも負担をかけてこないタイプの静脈瘤もあります。このタイプは、細かな血管が赤や紫色の網目のような模様となって現れます。「網の目・クモの巣静脈瘤」と呼ばれています。
編集部
しかし、足全体が膨らんだり、皮膚潰瘍を起こしたりすると聞きます。
橋本先生
それは、「コブになるタイプ」が重篤化した場合の話です。他方、「コブにならないタイプ」は、網目状やクモの巣状の見た目が広がったとしても、むくみなどの身体症状は現れません。後者の場合は、ご本人が気にされないなら、無理して治療する必要もありません。
配信: Medical DOC
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