「騒ぐな。自分でズボンを脱げ」女装して性的暴行、男に懲役10年 被害者は「殺されるかと…」

「騒ぐな。自分でズボンを脱げ」女装して性的暴行、男に懲役10年 被害者は「殺されるかと…」

●犯行翌日には「罪悪感の塊の物品を頭にかぶりながら…」

 弁護人からの質問に対し“罪悪感”を語った被告人だが、現場で奪い取ったAさんの下着を、犯行翌日に頭にかぶって自慰行為におよび、その様子を動画撮影している。これを検察官から厳しく追及されることになった。

検察官「あなたAさんの下着をなぜ捨てなかったの? 警察がいつ来るかとおびえていたんですよね?」
被告人「どう処分したらいいか分からなかった……」
検察官「捜索時にAさんの下着が出てくればあなたが犯人だ、となりますよね。それに怯えていたのに、どうして捨てなかったんですか? なぜそんな罪悪感の塊の物品を頭にかぶりながら自慰行為ができるんですか?」
被告人「…………」
検察官「あなたの言うところの罪悪感ってなんですか?」
被告人「…………」

答えに窮した被告人に対しては、犯行直前に女性もののスカートに履き替えた理由についても質問がなされた。昨年5月の逮捕当時には「女装することで、より興奮が高まる」などと語っていたというが、法廷では「特に理由はありません」と、同じく小さな声で淡々と答えた。

検察官「『普通に女性を襲うより、もっと興奮したかったから』と言っていませんでしたか?」
被告人「覚えていません」
検察官「何のためにスカートを買ったんですか?」
被告人「答えたくありません」

女性ものの下着を身につけていたことを裁判員から問われた際も「男もののボクサーパンツを履いていました。被害者が勘違いしている」と、下着は男性ものだったと主張し、下着やスカートなどを身につけていた理由が法廷で明言されることはなかった。

3月13日の判決で金子大作裁判長は「被告人の公判供述は信用できない」と述べ、被告人が否定し続けた「下半身への性器こすりつけ」行為があったと認めた。

「2時間もの間、車で下見を続け、手袋やスカートを持参し、待ち伏せて犯行に及んでおり計画的。被害者と体格差があることを分かりながら犯行に及んだ。被害者は『殺されるかと思った』と述べており、性欲を満たすための身勝手な行為で被害者に屈辱を強いた」(判決より)

被告人はAさんに対して謝罪をしておらず、被害弁償も行っていない。被告人が法廷で語った“罪悪感”がどういうものなのか、見えないままだった。

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