不同意わいせつ罪とは?強制わいせつとの違いや構成要件を簡単に解説

不同意わいせつ罪とは?強制わいせつとの違いや構成要件を簡単に解説

3、不同意わいせつ罪の具体例

不同意わいせつ罪の具体例としては、様々なものがありますが、注意が必要な具体例として次のようなものが挙げられます。

電車内で女性の下着の中に手を入れ、体を直接触った
路上で女性を押し倒して胸をもんだり、陰部を触ったりした
飲酒して泥酔した相手の体を触った
睡眠薬を飲ませて相手を眠らせ、体を触った
カラオケボックスや車内などで大人が16歳未満の子どもに自分の陰茎を触らせた

不同意わいせつ罪は、構成要件として紹介した8つの行為や事由だけでなく、それらに類する行為や事由による場合でも成立します。

そのため、相手が本心から同意したといえる場合以外は幅広く、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。

ただし、いわゆる痴漢のケースでは、ある程度悪質なケースを除いて、不同意わいせつ罪よりも軽い各都道府県の迷惑防止条例違反で処罰されることが多いと考えられます。

例えば、電車内で衣服の上から女性の体を触る行為は、執拗な態様でなければ迷惑防止条例違反で処罰される可能性が高いです。

しかし、未成年者に対する性犯罪は厳しく処罰される傾向にあるので、不同意わいせつ罪の要件を満たす場合は青少年保護育成条例違反ではなく、不同意わいせつ罪で処罰されるでしょう。

4、不同意わいせつでよくある質問

不同意わいせつ罪については、他にも以下のようなご質問をよく受けます。ここで、まとめてお答えします。

(1)同意のないキスは不同意わいせつに該当する?

同意のないキスは不同意わいせつ罪に該当します。むしろ、不同意わいせつ罪の典型的なケースのひとつともいえます。

ただし、同意のないキスを1回しただけで逮捕されたり、有罪になったりするとは限りません。

親しい間柄で気持ちが昂ぶってキスをしたような場合は、相手が問題としないこともあるでしょう。

相手の感情を害したとしても、誠実に謝罪すれば刑事事件にまでは発展しないこともあります。

しかし、路上で見知らぬ人に抱きついてキスをしたり、上司が部下に対して職場での力関係を悪用してキスを強要したような場合は、悪質性が高いといえます。

このような場合は、刑事事件に発展する可能性が十分にあります。

軽はずみにキスなどのわいせつな行為をすることは、厳に慎むべきでしょう。

(2)不同意わいせつと不同意性交の違いは?

今回の刑法改正で不同意わいせつ罪が新設されたのと併せて、かつての強制性交等罪と準強制性交等罪も統合され、不同意性行等罪が新設されました(刑法177条)。

不同意わいせつ罪と不同意性行等罪の構成要件は大部分が重複していますが、処罰対象となる行為に違いがあります。

不同意性行等罪では、性交、肛門性交、口腔性交、膣または肛門へ陰茎を除く身体の一部や物を挿入する行為が処罰対象とされています(刑法177条1項)。

その他のわいせつ行為が、不同意わいせつ罪の処罰対象です。

性交(膣に陰茎を挿入すること)さえしなければ不同意「性交」に該当しないと考えている人もいますが、上記のとおり不同意性行等罪の処罰対象も広くなっているので注意が必要です。

不同意性行等罪の刑罰は5年以上(20年以下)の有期の拘禁刑と、不同意わいせつ罪よりもかなり重いです。

わいせつ行為がエスカレートすると、不同意性行等罪として重く処罰されるおそれがあるので、くれぐれも注意しましょう。

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