「肺がんの生存率」はご存知ですか?症状や治療法も解説!【医師監修】

「肺がんの生存率」はご存知ですか?症状や治療法も解説!【医師監修】

「肺がん」は日本のがんの死亡原因の第一位となっているがんの種類で、早期発見と治療が大切です。日本人のがんの中で一番多いとはいっても、名前は聞くが詳しくは知らないという方も多いでしょう。

肺がんには4つの種類と大まかに0−4に分けられたステージと呼ばれる病気の進行レベルを表す指標があります。どのステージで病気が発見され、どの肺がんの種類かによって生存率も大きく影響します。

肺がんの種類・ステージによって、どれほどの生存率があるのでしょうか。この記事では肺がんの生存率について、また症状・治療法・早期発見のポイントなども併せて解説します。

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監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

肺がんとは

肺がんは気管支や肺胞と呼ばれる酸素と二酸化炭素の入れ替えを行う細胞が、何らかの理由によってがん化したものです。
大まかに非小細胞肺がん・小細胞肺がんに分けられ、非小細胞肺がんはさらに腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんの3種類、全体では4種類に分けられます。
肺がんの中では肺腺がんが最も多く、肺がんの約50%以上を占めていて、ついで扁平上皮がん・小細胞肺がん・大細胞がんが続きます。また肺がんは進行すると、血液やリンパ液を介して肺内の別の部位や骨・脳・肝臓・副腎に転移する可能性があるため、注意が必要となるでしょう。
また肺がんは喫煙と大きな関係があり、喫煙者は非喫煙者と比べて男性で4.4倍、女性で2.8倍肺がんになりやすいといわれています。
しかし、自分は喫煙をしていない、周りに喫煙者がいないなら肺がんにならないというわけではありません。ほかにもアスベストに長期間晒されるような状況下にあった時には肺がんになる危険性が高くなるといわれています。

小細胞肺がん

肺がんの治療は小細胞がんかそれ以外かによって治療法が大きく異なります。小細胞がんは、化学療法や放射線療法が効果的ながんですのでそれらでの治療を行います。手術はごく早期に手術によってがんをとり切ることができる場合に行われます。

非小細胞肺がん

非小細胞肺がんは小細胞肺がん以外の3種類、つまり腺がん・扁平上皮がん・大細胞がんです。非小細胞肺がんの治療法を選ぶ際には、他に病気があるか・肺の機能はどのくらい残っているか・治療に耐えられる体力は残っているかなどを判断してから選択されます。
非小細胞肺がんの患者さんは特定の遺伝子に異常が認められることがあり、その遺伝子異常に対する薬での治療が行われることもあるでしょう。他にも、手術療法・放射線治療・化学療法などを組み合わせて患者さん個人の体力に合わせた治療が選択されています。

肺がんのステージ別生存率

肺がんにはがんの進行レベルを分類した0−4のステージがあり、ステージによってがんの生存率も異なります。また生存率は5年生存率が使用されることが多く、5年先生存している可能性を示すものです。
生存率には実測生存率と相対生存率の2種類があり、前者はがん以外の原因で亡くなったケースを含み、後者はがん以外の原因で亡くなったケースを除きます。ではここで、肺がんのそれぞれのステージとその生存率について解説しましょう。

肺がんステージ0(0期)

上皮内がん、つまりがんが粘膜内にとどまっており、リンパ節への転移がないものをステージ0と呼んでいます。ステージ0の場合の5年生存率は97%と統計では示されています。

肺がんステージ1(I期)

がんが肺の中だけにあり、他の臓器への転移がない状態をいいます。ステージ1はさらにIAとIBの2つに分類されます。全年齢で5年生存率は73.1%となっています。

肺がんステージ2(II期)

肺がんが近くのリンパ節に転移している状態、もしくはリンパ節への転移はないが、肺の中のがん細胞が大きく3cmを超える状態をいいます。5年生存率46%となっています。

肺がんステージ3(III期)

肺がんが、肺の周りの心臓を囲む胸膜や胸壁に転移が見られ、首や食道近くのリンパ節に転移している状態をいいます。5年生存率は25.3%となっており全体の約1/4です。ステージIIと比べると大きな差があることがわかります。

肺がんステージ4(IV期)

原発の肺がんが、肺の他の場所もしくは脳・骨・肝臓・副腎などの遠く離れた臓器にも転移がある状況をいいます。ステージⅣでは5年生存率は6.4%となっており、予後はかなり厳しい状況であることがわかります。

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