「大腸がんの進行速度」はどれくらいかご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

「大腸がんの進行速度」はどれくらいかご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

大腸がんの症状

大腸がんは自覚症状に乏しいがんです。早期では症状がほとんど現れないことが多いです。
病期が進行すると、血便やお腹の張りなどの症状が現れる場合があります。大腸がんの症状を以下で詳しく解説します。

早期の段階ではほとんど症状が出ない

早期の大腸がんは症状がほとんど現れないため、見つけるには便潜血検査や大腸内視鏡検査などで調べる必要があります。
自覚症状がなくとも、大腸がん検診などで再検査となった場合には、必ず医療機関を受診して詳しく調べてもらいましょう。

血便

大腸がんの自覚症状の1つに血便があります。血便といっても、必ずしも真っ赤な出血をともなうものではありません。大腸がんが発生した部位によって、血便の色が変わります。
直腸やS上結腸など、肛門に近い箇所の大腸がんから出血した場合には、真っ赤な血便が見られるでしょう。一方、大腸がんの発生箇所が肛門から離れる程血便は暗い赤色になるため、判断が難しくなります。
また、血液が便中に紛れている場合には、自分で発見するのは困難でしょう。血便が出ているか心配な場合には、便潜血検査を受けると判別できます。
血便は痔の症状としてもみられるため、そのまま放置してしまう方もいるかもしれません。しかし、なかには大腸がんが原因の場合もあるので、必ず医療機関で詳しい検査を受けるようにしましょう。

便秘・下痢・便が細くなる

大腸がんの症状として、便通の乱れがあります。急に便秘や下痢を繰り返すようになったり、便が細くなったりといった症状が現れます。
この原因の1つが大腸の機能低下です。大腸は便の水分を吸収して適度な硬さにする働きがあります。大腸がんの影響でこの働きが低下すると、水分吸収がうまくできず下痢となるのです。
また、大腸がんによって腸管内が狭くなると、便秘になったり便が細くなったりします。これらの症状が続く場合には早めに検査を受けましょう。

残便感・お腹の張り

直腸付近に大腸がんが発生し大きくなると、残便感を覚えることがあります。また、大腸がんにより腸管内が狭くなると便やおならが排出されにくくなるため、お腹の張りを感じることがあります。

貧血

大腸がんによって貧血症状が現れる場合があります。大腸がんによって大腸の粘膜が脆くなると、出血が起こります。
慢性的な出血が続くと体内の鉄分が失われるため、貧血症状が起こるのです。また、血液検査でヘモグロビン値が低いと指摘されて、初めて貧血に気付く場合もあるでしょう。
貧血が続く場合には、精密検査を受けるようにしましょう。

腹痛・嘔吐

大腸がんが原因で腹痛や嘔吐などの症状が現れる場合があります。これらの症状の原因は、大きくなった大腸がんが腸管内を塞ぐためです。
腸管内が大腸がんで狭まると、便を押し出すために腸が活発に動くため、腹痛が現れます。
また、大腸がんで腸管内が塞がってしまうと腸閉塞という状態になります。これにより大腸の内容物の流れが滞り、腹痛や嘔吐などの症状が現れるのです。
腹痛や嘔吐などの症状は、大腸がんが大きくなった場合に起こりやすい症状であり、大腸のどの部位にがんが発生していてもみられる症状です。

大腸がんの治療法

大腸がんの主な治療法として、内視鏡治療・外科治療・薬物療法・放射線治療の4つがあります。それぞれの治療法を以下で詳しく解説します。

内視鏡治療

大腸がんの内視鏡治療とは、大腸内視鏡を使ってがんを切除する治療法です。がんが粘膜下層までにとどまり、リンパ節転移の可能性がない早期の大腸がんに適応されます。
内視鏡治療ではスネアや高周波メスなどを使用して大腸がんを切除します。大腸の粘膜には痛覚がないため、切除する時に痛みなどはありません。
大腸がんの大きさや適応される内視鏡治療の種類にもよりますが、日帰りで治療できる場合があります。入院が必要な場合でも、3〜5日程度の短期間の入院で治療可能です。

外科治療

外科治療は手術によって大腸がんを切除する治療法です。内視鏡治療で切除できない1〜3期の大腸がんに適応されます。また大腸がんの4期でも、原発巣や遠隔転移巣の切除が可能な場合には手術が行われます。
大腸がんのスタンダードな外科治療方法は開腹手術です。このほか、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術といった方法があります。
外科治療の場合、切除する大腸の箇所によっては、一時的もしくは永久的な人工肛門(ストーマ)の造設を行います。

薬物療法

大腸がんの薬物療法の主な目的は大腸がんの再発予防・大腸がんの切除が難しい場合の症状緩和の2つです。
再発リスクのある2〜3期の大腸がんには、手術後の薬物療法が推奨されています。また、切除が難しい大腸がんの場合には、進行を遅らせて症状を緩和する目的で薬物療法が行われます。

放射線治療

放射線治療は、大腸がんのなかでも主に直腸に発生したがんに用いられる治療法です。手術前にがんの大きさを小さくしたり、手術後の再発を予防したりする目的で放射線治療を行います。
このほか、がんの転移や再発による痛みや吐き気などの症状を抑える目的で使用するケースがあります。

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