『関節リウマチ』の検査方法はご存知ですか? リウマチ専門医が解説!

『関節リウマチ』の検査方法はご存知ですか? リウマチ専門医が解説!

関節リウマチは、なんとなく見た目の変形で診断できそうなイメージがありますが、診断には定められた基準があり、しっかりとした検査が必要なのだそうです。「もしかしたらリウマチかも?」と思ったときに知っておきたいリウマチの基本と検査方法について、リウマチ専門医の上原 武晃先生(湘南リウマチ膠原病内科院長)にお聞きしました。

≫「“膠原病”は遺伝しますか?」 症状や原因など疑問を内科医が回答

監修医師:
上原 武晃(湘南リウマチ膠原病内科)

2006年 福島県立医科大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院や横浜市立大学附属市民総合医療センター、茅ヶ崎市立病院リウマチ膠原病内科部長などを経て、2019年 神奈川県茅ヶ崎市に湘南リウマチ膠原病内科を開院、院長となる。1000例を超えるリウマチ・膠原病診療の経験を通し、早期発見・早期治療、そしてメディカルスタッフとチームになった専門ケアに注力した総合診療を行う。

関節リウマチとは? どんな症状が出るの?

編集部

関節リウマチについて教えてください。

上原先生

関節リウマチは、主に関節の慢性炎症を特徴とする進行性の自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、本来異物や病原体をやっつける「免疫系」が体内の正常な組織や細胞に対しても攻撃することで起こる疾患です。

編集部

どんな症状がでるのでしょうか?

上原先生

指などの関節において慢性的な炎症が発生し、これが痛みや腫れ、関節の動かしにくさなどを引き起こします。この状態が続くと、徐々に関節周辺の組織や軟骨が損傷され、指や手首などが変形していくのです。症状は、左右対称のこともあれば片側だけの場合もあります。

編集部

やはり、関節の症状が多いのでしょうか?

上原先生

関節の症状が多いのは事実ですが、合併症として全身のさまざまな臓器に炎症を起こすことがあり、さらに皮膚や肺、眼の部位にも症状が出ます。また、関節リウマチの患者さんは心筋梗塞などの心血管系の病気のリスクが高くなるといった報告もあります。

編集部

どうして関節リウマチになるのですか?

上原先生

発症のメカニズムは、実ははっきりとはわかっていません。しかし、統計的には中年以降の女性や喫煙者の発症が多いとされています。また、むし歯や歯周病などの口腔環境や腸内細菌も関連しており、ほかにも細菌・ウイルスの感染、過労やストレス、出産やケガなどをきっかけに発症するという方もいらっしゃいます。

リウマチの治療法は?早期発見・早期治療が大事ってホント?

編集部

関節リウマチの治療について教えてください。

上原先生

関節リウマチ自体を根治させる治療法はまだなく、症状を緩和しながら進行を防ぐのが治療の目的となります。具体的には、薬物療法や運動療法、物理療法などのリハビリテーション、栄養バランスを整える食事療法、関節に負担のかからないよう生活環境を調整するなどで対処します。

編集部

薬物療法ではどんな薬が使われますか?

上原先生

進行を遅らせ、関節破壊を抑制する「DMARDs」と呼ばれる薬や、より炎症を抑える効果の高い「生物学的製剤」、JAK(ジャック)という酵素の働きを抑えることで関節破壊や炎症を抑える「JAK阻害剤」などがあります。また、痛みや腫れなどの症状を緩和する「NSAIDs」やステロイドなども補助として用いられます。現在は治療薬にもさまざまな選択肢がありますので、それぞれのメリットやデメリットなどを医師と相談のうえで、自分に合ったものを選択することが大事です。

編集部

そうなのですね。治療において最も大切なことは何ですか?

上原先生

関節リウマチは進行性の疾患なので、最も大事なのは早期に病気を発見し、早期に治療を開始することです。関節リウマチは発症から2年以内に最も急速に症状が進行することがあるとわかってきています。関節が一度破壊してしまうと、元に戻ることはありません。そのため、早期発見・早期治療が重要なのです。

編集部

早期に発見するためにはどうしたらよいですか?

上原先生

関節リウマチの初期症状は、ちょっとした手足や指のこわばりや関節の痛みです。しかし、症状が朝だけのこともあるため、なんとなく様子を見てしまう方も多いようです。例えば蛇口の開け閉めがしにくくなったと感じたとき「年のせいかな」と我慢せずに、リウマチ専門の医療機関で検査してもらうことをお勧めします。

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