大谷翔平の通訳・水原一平氏が告白「ギャンブル依存症」とは? やってはいけない支援は「お金を貸すこと」

ギャンブル依存者へ絶対にやってはいけないこと

――身近にギャンブル依存の人がいた場合、やってはいけない支援はありますか?

田中 お金を貸すことです。絶対に貸してはいけません。「ギャンブル依存者に金は絶対に貸さない」、これは基礎知識として共有したいですね。そもそも、会社員ならクレジットカードなどを使えば、一時しのぎの借金なんてできますよね。にもかかわらず、人にお金を借りようとするということは、カードで借金ができないほどの状況と考えられます。相当ヤバいですよね。そもそも、社会人になってから、友達に「ごめん2万貸して」って言ったことありますか?

――ないですね……。

田中 普通、ないですよね。しかし、借金の肩代わりをしちゃう人は本当に多い。「嘘をつくのがうまいから、つい貸してしまった」とみなさん言うんですが、そもそも貸さなきゃいいんです。

 身近な人からお金を無心されたら、「あなたが抱えているギャンブルの問題について、何も手助けできない。だから、自分で医療施設か相談機関かGA(ギャンブラーズ・アノニマス、匿名で話すことができる自助グループ)に相談へ行きなさい」と言ってください。相手は必死にいろんな嘘をついてきますが、お金は絶対貸してはいけません。

一時の楽しみで済ませられる「愛好家」と「依存症」の境界線とは?

――適切な範囲でギャンブルを楽しめる人もいる一方で、借金まみれの依存症になってしまう人もいる。この二つは何が違うのでしょうか。

田中 ギャンブルだけでなく、アルコールや薬物を摂取すると、脳内からドーパミンと呼ばれる快楽を感じる物質が分泌されます。依存症はドーパミンの機能不全が原因で、段々と耐性ができて量が増えていき、自分ではコントロールができなくなってしまいます。

 では、なぜ適性な範囲で楽しめる人と、依存になってしまう人がいるのか? これはもう、「病気だから」としか言いようがないと思います。同じような食生活をしている家族であったとしても、脳梗塞や脳卒中になる人もいれば、ならない人もいます。うちはガン家系ではなかったんですが、母親はガンになりました。それについて、「母親は何でガンになったんでしょうか?」と言ったところで、わからないですよね。「なんで?」となったとき、その人のパーソナルな部分に原因を求めてしまうんですが、それは違うと思います。誰だって病気になんてなりたくないんですから。

 ギャンブルをはじめ、アルコールや薬物などもそうですが、それらに手を出すと「一部の人たちはドーパミンの機能が不全になる“依存”という病気になってしまう」という点を、啓発するべきだと思うんです。自分が依存症になるとわかって始める人はいませんから。

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