大谷翔平の通訳・水原一平氏が告白「ギャンブル依存症」とは? やってはいけない支援は「お金を貸すこと」


Getty Imagesより

 米ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平の通訳・水原一平氏が、違法賭博問題により、同球団から解雇された。水原氏は、大谷の口座から違法なブックメーカー(賭け屋)に450万ドル(約6億8000万円)を送金していたという。

 水原氏は解雇前、チームメイトに「私はギャンブル依存症」と告白したと伝えられているが、そもそもどんな病気なのだろうか。

 日本において、ギャンブル依存症の治療は2020年4月から公的医療保険が適用されているが、サイゾーウーマンではその直前に、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表で、『祖父・父・夫がギャンブル依存症!三代目ギャン妻の物語』(高文研)の著書があり、自身も同依存症だった田中紀子氏にインタビューを行っていた。

 水原氏の違法賭博問題が取り沙汰される今、あらためてギャンブル依存症の実態について考えるため、同記事を再掲する。

ギャンブル依存症は「普通」すぎて気付かない――見えにくい「犯罪率の高さ」と「嘘まみれ」の実態

目次

そもそもどこからが依存症?

ほかの依存症との違いは「犯罪率」「嘘」

ギャンブル依存症によくある誤解とは?

ギャンブル依存者へ絶対にやってはいけないこと

「愛好家」と「依存症」の境界線とは?

子どもは依存症になるリスクが高い

そもそもどこからが依存症?

――ギャンブルや、お酒などほかの依存対象でもそうですが、そもそもどこからが「依存症」なんでしょうか?

田中紀子氏(以下、田中) 依存はガンみたいに「ガン細胞が発生しました」ではないですからね。きっぱりとしたボーダーラインがあるわけではないんです。本人の中で、なにか行動するときの優先順位のトップにギャンブルが来ているような状況や、家族や友人や同僚といった、周りの人が困っているのだったら、それはもう依存症といえるのではないでしょうか。

――家族だけでなく、友達や同僚に対しても迷惑をかけるのですか?

田中 ギャンブル依存の場合、友達や同僚からお金を借りまくってしまう人もいます。よくあるのは同僚のロッカーからモノを盗んだり。会社の印紙とか切手を盗んだりとか。経費を水増し請求したり。学生だと友達同士でトラブっちゃったりするんですよ。学生ローンなんて、あまり借りられないですから、友人からお金を借りてしまい、返済できないから顔を合わせづらく、大学にも行けなくなってしまう。そして大学も中退せざるを得なくなる。

――大学生がギャンブル依存になるんですか?

田中 大学生には多いですよ。パチンコは18歳からできますよね。競馬は20歳以上であれば大学生からできます。大学側もギャンブル依存のことには無知なため、どこの大学にも「競馬サークル」があったりしますから。大学生もタレントの出てくるCMを見て、気楽な「レジャー」感覚で足を運ぶんです。

――ギャンブル依存症の人は、国内にどのくらいいるのでしょうか。

田中 厚生労働省による2014年の調査では、ギャンブル依存の有病率は成人男性8.8%、成人女性は1.6%という数値が出ています。男性は約9人に1人。なので、依存当事者はまったく普通のサラリーマンですよ。「ギャンブル依存」と聞くと、特にギャンブルに縁のない人ほど、ホームレスのような人を想像しがちですが、そんなことはなく、何の問題もないように見える「普通」の人たちが依存を抱えて生きているんです。

関連記事: