「肺がんの末期症状」はご存知ですか?初期症状や余命も解説!【医師監修】

「肺がんの末期症状」はご存知ですか?初期症状や余命も解説!【医師監修】

肺がんの末期症状

肺がんの末期になると、がん細胞は肺以外に転移していることが多く、全身へ症状が出現するようになります。

脳転移による頭痛・吐き気

がん細胞が脳に転移すると、脳腫瘍の周囲の組織が大きく腫脹します。
脳の周囲には頭蓋骨があり、体積が決まっているため腫脹すると周りの脳細胞を圧迫します。
そのため、頭蓋骨の内部にかかる圧力が上昇し、頭痛や吐き気などの症状が出現するでしょう。圧力が上昇する症状は、頭蓋内圧亢進症状と呼ばれます。
がんが転移した場所によっては、麻痺や言語障害などを引き起こします。

骨転移による腰・胸などの痛み

肺がんから骨に転移すると、腰や胸などに痛みが生じます。
骨転移は約80%の方に症状が出現しますが、がんの大きさや重症度との相関性が必ずあるとはいえません。
一過性の痛みである突発痛と、12時間以上続く持続痛があり、持続痛には放射線治療や鎮痛剤でコントロールが可能なことが特徴です。
一方で突発痛では、現代の治療では十分に疼痛をコントロールすることが困難になります。

呼吸不全

肺がんの末期の状態になると、75〜87%の方に呼吸が困難な感覚が生じます。
なかでも、呼吸不全は低酸素血症と呼ばれる状態であることを意味します。
検査で体内の酸素濃度を検査する客観的な病態です。呼吸が困難な感覚があることは、呼吸不全になっているとは一概にはいえません。
原因はさまざまあり、胸水・気道の狭窄など肺がんによる症状の場合や、抗がん剤などの治療による影響の場合もあります。

全身状態の悪化

がん末期の状態になると、がんの影響は全身におよびます。脳や骨の転移については先述しましたが、消化や排泄に関わる臓器に転移することも少なくありません。
がん細胞は増殖に多くのエネルギーを消費するため、ほかの生命維持に必要な細胞は十分なエネルギーを確保できなくなります。
そのため、栄養を十分に吸収できなくなったり、身体の毒素を排出できなくなったりするでしょう。
徐々に体重の減少や倦怠感の増強など、全身状態の悪化につながります。

肺がん末期の治療法

肺がん末期の方は、化学療法や放射線療法などの治療を行います。
初期の肺がんであれば手術による切除ができますが、末期の状態になると手術でがんを取り除くことは不可能です。
また、治療により必要以上に体力を失う可能性もあるため、治療法は患者さんの状態により変化していきます。

化学療法

化学療法(抗がん剤治療)とは、がん細胞を直接攻撃できる薬剤を用いた治療法です。
服用したり、注射したりして抗がん剤を血液のなかに入れていきます。血流に乗って全身のがん細胞に効果を発揮することが可能です。
ですが、化学療法は末期の肺がんの方のなかでも、全身状態が良好で問題となるような合併症がない方に限られます。

放射線療法

放射線療法とは、がん細胞にピンポイントで放射線を照射する治療法です。
治療効果も高く、副作用も少ないことが特徴です。肺がんから脳転移したがん細胞でも治療ができます。
積極的な治療のような使い方とは異なり、肺がんの症状を緩和したり、予防したりする目的で使用することもあります。

標的療法

標的療法とは、がん細胞だけが持っている生存や増殖に関する物質を標的にする薬物療法です。
精密医療とも呼ばれています。肺がんでは、以下のような遺伝子異常が発見されています。

EGFR

ALK

K-RASなど

遺伝子異常を調べ、異常に合わせて治療することで、より高い効果をえられるでしょう。

免疫療法

免疫療法とは、先述した治療法とは異なり、患者さん自身の免疫が正常にがん細胞に働くようにする治療法です。
がん細胞は免疫細胞に攻撃されないように、がん細胞に対する攻撃を抑え込んでいます。
しかし、免疫治療薬を使用することで、体内の免疫が正常に働けるように手助けすることが可能です。

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