認知症になりやすい人の特徴
認知症は高齢者に多い病気です。また、無気力で周囲への関心が乏しく、社会的な関わりが少ない人は認知機能が低下しやすく、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のある人や太っている人、うつ病などの精神疾患がある人、喫煙者、教育年数が低い人で認知症が多いことが知られています。このことを踏まえて、どのような人が認知症になりやすいかをご紹介します。
高齢者
2012年の統計では、認知症は男女ともに65歳から増え始め、75歳では10人に1人、80歳では5人に1人と急激に増加します。認知症の有病率は女性で高く、65歳ではほぼ同じ割合ですが、80歳以上では10%以上の差がみられます。
社会的な関わりが少ない人
人との交流がなく、引きこもりがちな生活な人は認知症になりやすいと考えられます。外出機会も減るため、運動不足になりやすいことも認知症になりやすい因子となります。
運動習慣がなく、休日はごろごろと過ごす人
休日にごろごろと過ごしている人は肥満になりやすく、糖尿病などの生活習慣病になりやすく、認知症になりやすいと考えられます。
炭水化物を主とする高カロリー食の人、偏食の人
炭水化物を中心とする高カロリーな食事をしている人は糖尿病などの生活習慣病になりやすく、認知症になりやすいと考えられます。また、過度な偏食の人ではビタミン欠乏などで急激に認知機能が低下してしまうこともあります。
教育年数が8年以下の人
教育年数が8年以下の人は8年以上の人に比べて2倍認知症になりやすいと報告されています。日本では義務教育期間は9年であるため、ほとんどの方が当てはまらないと思いますが、義務教育を受けられなかった方は注意が必要です。
認知症を予防する可能性の高い食べ物
認知症の予防では、有効であると証明された食事や栄養素はなく、バランスのよい食事で一部の栄養素が不足しないようにすることが最も重要です。一方で証明されてはいないものの、認知症の予防に効果があるではないかと考えられている食べ物や飲み物はあるため、それらをご紹介いたします。
青魚
ドコサヘキサエン酸(DHA)はサバやイワシなどの青魚に多く含まれる脂肪酸であり、人間の体内で産生ができない必須脂肪酸です。DHAの血中濃度が138μg/mlよりも低い人に比べ、高い人で10年後の認知機能低下のリスクが0.11~0.17倍になったとの報告があります。
乳製品
牛乳などの乳製品はカルシウムや各種ビタミン、良質な蛋白質を含んでおり、優れた栄養価を持つ食品として知られています。ある研究では牛乳や乳製品をたくさん食べている人では、そうでない人に比べて認知機能が低下しにくかったとの報告があります。
大豆製品
大豆製品は植物性蛋白質、ミネラル、ビタミン、食物繊維に加え、イソフラボンなどの栄養機能成分も含まれることから健康の増進につながることが期待されている食品です。ある研究では男性では変わりありませんでしたが、女性では大豆製品やイソフラボンの摂取量の多い方で認知機能低下のリスクが0.5~0.7倍に低下したと報告があります。
赤ワイン
1日グラス3-4杯以上の赤ワインを飲む人では飲まない人と比べて0.19倍~0.31倍、認知症になりにくかったと1997年にボルドー大学が報告しており、認知症予防に有効であるとテレビでも取り上げられたため、聞いたことがある方も少なくないと思います。ただし、チューリッヒ大学の報告では赤ワインを飲む男性は認知症となる人が少なかったものの、女性では逆に認知症の人が多かったとの報告がされており、注意が必要です。
緑茶・コーヒー
緑茶やコーヒーを日常的に飲用している人では認知症が少ないとの報告があります。カテキンやポリフェノールなどが認知症の予防に寄与しているのではとの検討もされていますが、詳細はまだわかっていません。ある研究では1日2杯以上の緑茶を飲んでいる人は飲んでいない人に比べて認知機能低下のリスクが70%に低下すると報告されています。
配信: Medical DOC