親が認知症になったあと「資産凍結」になっていることを知りました。いつごろ解除されるのでしょうか?

資産凍結の解除までどれぐらいかかる?

成年後見制度を利用するためには、まず家庭裁判所への申立てが必要です。手続きの流れは次のとおりです。

 

(1)本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てをします。その際に、申立書、診断書、本人の戸籍謄本、申立手数料、登記手数料などを用意する必要があります。

(2)申立て後に、審問・調査・鑑定等が行われます。裁判所の職員が、申立人、後見人候補者、本人から事情を伺うことや、本人の親族に後見人候補者についての意見を照合することがあります。また、本人の判断能力について鑑定を行うこともあります。

(3)家庭裁判所が後見開始の審判をし、それと同時に最も適当と思われる人を成年後見人に選任します。事情に応じて、弁護士、司法書士、社会福祉士等の第三者を成年後見人に選任することもあります。

 

申立てから後見の開始までの期間は、個々の事案により異なるものの、多くの場合4ヶ月程度となっています。

 

家庭裁判所での審判が確定したら、成年後見人が金融機関に成年後見制度利用の届け出をします。

 

その際には、通帳や届出印、成年後見人に関する届出書、成年後見制度に関する確認書類(登記事項証明書など)、成年後見人の本人確認書類などが必要です。実際に必要な書類については、それぞれの金融機関にご確認ください。

 

資産の凍結状態を解除するまでには、成年後見制度の手続きを含め、相当の時間がかかると考えておきましょう。

 

緊急に資金が必要な場合は金融機関に相談

成年後見制度の利用開始までの間、緊急に資金が必要な場合はどのように対応すればよいのでしょうか。

 

一般社団法人全国銀行協会の「預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引出しに関するご案内資料」によると、本人の生活費、入院や介護施設費用などのために資金が必要な場合は、まずは金融機関へ相談するように案内しています。

 

ただし、この場合の対応は金融機関や個別の状況によっても異なり、預金の引き出しが認められない可能性もあります。また、認められた場合でも緊急的な対応であるため、継続的に預金を引き出すには成年後見制度の利用が必要になります。

 

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