「ストレス」が原因で「血圧」が高い人の特徴はご存知ですか?下げる方法も解説!

「ストレス」が原因で「血圧」が高い人の特徴はご存知ですか?下げる方法も解説!

ストレスで血圧が上がる?Medical DOC監修医がストレスによる影響や高血圧で気をつけたい病気、予防のための対処法などを解説します。

≫「急性心不全の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

監修医師:
伊藤 陽子(医師)

浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

ストレスと血圧の関係とは?

「イライラすると血圧が上がる」という話はよく聞きますが、これは本当です。
ストレスを感じると自律神経のはたらきで血圧が上がりやすくなります。しかし、ストレスが原因の高血圧は専門的な血圧測定を行わない限り、なかなか認知できません。
診察室での血圧140/90mmHg以上(家庭血圧で135/85mmHg以上)が高血圧の診断基準です。また、血圧120/80mmHg(家庭血圧115/75mmHg)以下が正常値です。これ以上の数値が続く場合、境界域であっても脳心血管病(脳卒中や狭心症、心筋梗塞など)の発症が多くなるとされ、注意が必要です。
なぜストレスで血圧が上がるのでしょうか。どのような対処法があるか、どこの科を受診すれば良いかなどをご紹介します。

ストレスと血圧は関係あるの?

人体は24時間絶え間なく呼吸し、心臓を動かし、体温調整をしています。時間が経てば空腹になり、喉が渇きます。
これらの無意識で行うはたらきは、自律神経という神経が調整しています。自律神経は運動神経と異なり、自分の意思で直接動かすことはできません。
自律神経は興奮したときに優位になる「交感神経」と、リラックスしたときに優位になる「副交感神経」があります。交感神経と副交感神経はシーソーのような関係で、どちらかが優位だと片方は活動しません。
ストレスがあると、人体は交感神経が優位になります。

ストレスで血圧が上昇する原因は何?

交感神経が優位になる状態は「戦う」時です。目の前にいる凶暴な敵が、今にも襲い掛かる、という時には人体はどのようになるでしょう。
血管は細く縮み、ケガをしても血が流れにくくします。心臓は心拍数が増え、応戦で激しく動いても細胞が酸素不足にならないように備えます。この結果、血圧は上昇します。
ストレスで血圧が上昇するのは、無意識に「目の前に敵(または、厄介なこと)がいる」と判断し、身体が反応するからです。
仕事や悩みなど、ストレスの原因が一時的にでも去れば、血圧は下がることがあります。
しかし、ストレスを抱え続けると、いつまでも血圧が下がらず高血圧のまま維持されがちです。さらに肥満や塩分の過剰摂取、寝不足など生活習慣病が加わると、心筋梗塞などの引き金になりかねません。
仕事上のトラブル、対人関係、日常の悩み事などはありふれた問題です。常にストレスに囲まれて、交感神経が刺激され続けていることが血圧を上昇させる原因です。

ストレスが原因で血圧が高い人の特徴

ストレスが原因で血圧が急上昇しやすい人は、完璧主義でリラックスをすることが苦手な傾向があります。競争心が強い、いつも忙しい方もリスクがあります。
肥満や運動不足など生活習慣病と異なり、仕事中や昼間などストレスが高い環境にいるときだけ血圧が高いことも特徴です。
そのため通常の血圧測定では正しく判定できないことがあり、仮面高血圧と呼ばれることがあります。

職場のストレス

普段は正常なのに、仕事中だけ血圧が上がることがあります。これは「職場高血圧」という症状で、きちんと対策をしなければ脳梗塞など致命的な症状を引き起こす原因になります。
職場高血圧は肥満、家族に高血圧の方がいる方が発症しやすい傾向があります。
職場高血圧を診断するには、職場で血圧を測ることが不可欠です。事業者が血圧計を用意するか、ご自身で血圧計を持ち込んで血圧測定を行いましょう。

昼間高血圧

起きて活動する昼間は、健康な方でも交感神経が優位になります。血圧も適度に上がらなければ、とても活動できません。
しかし、昼間に過剰に高血圧になることがあります。昼間だけ高血圧になることを「昼間高血圧」と呼び、職場高血圧は昼間高血圧の一種です。
昼間高血圧は職場ストレスが多い方、夜勤が続く方に発症しやすいのが特徴です。副交感神経が優位になる夜に働き、交感神経が優位になる昼に眠ると、昼勤よりも自律神経の調整機能が乱れがちになります。夜勤がある方は、念のため仕事中や昼間の血圧を測ってみましょう。
昼間高血圧は、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)という装置を一日中つけて、血圧の変化を観察する精密検査もあります。ABPMの検査を行えるクリニックもあります。相談をしてみましょう。

医療ストレス

病院が苦手な方、慣れていない方は、病院で血圧を測ると異常に高い数値になることがあります。ふだんは低い血圧なのに、高血圧と誤診されるおそれがあります。
医師や看護師の白衣を見るだけで緊張し、血圧が上がることを「白衣高血圧」と呼び、これもストレスが原因の高血圧です。他のストレス性高血圧と異なり、病院だけで血圧が上がってしまい、正確な数値が測れないのが特徴です。
自宅で血圧計を購入し、自宅で血圧を計測することで正確な数値を測ることができます。

関連記事: