「白血病の生存率」はご存知ですか?小児・成人別に解説!医師が監修!

「白血病の生存率」はご存知ですか?小児・成人別に解説!医師が監修!

急性骨髄性白血病の治療

急性骨髄性白血病の治療には、「標準治療」として用いられている方法が複数存在します。
標準治療とは、科学的な根拠に基づいて、多くの患者さんに推奨されている治療方法です。ここでは、よく用いられる4種の治療方法について解説します。

細胞障害性抗がん薬による薬物治療

急分子標的薬による薬物治療

化学療法

造血幹細胞移植

これら全てを一度に行うわけではなく、患者さんの症状に合わせていくつかの薬や治療法を組み合わせて治療していきます。副作用が強く出る場合には、治療に使う薬を変更したり、副作用を抑える薬を併用したりすることも可能です。
また、妊孕性(にんようせい)の温存についても注意が必要となります。妊孕性とは、生殖機能のことです。将来子どもを持ちたいと考えている方は、男女ともにその旨を申し出ましょう。
患者さんが小児の場合はまだ考えにくいかもしれませんが、将来子どもを持ちたいと思う可能性を考え、慎重に検討しましょう。

細胞障害性抗がん薬による薬物治療

細胞障害性抗がん薬は、一般に「抗がん薬」と呼ばれることもあります。がん細胞の増殖を邪魔する薬を用いた治療方法です。
アルキル化薬・代謝拮抗薬・微小管阻害薬など、さまざまな種類があります。患者さん一人ひとりに合わせて、薬の種類・量・副作用の対策を調整しながら治療を行います。

分子標的薬による薬物治療

分子標的薬とは、21世紀に入ってから「新しいがんの治療法」として登場した薬です。従来の抗がん剤では、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃してしまうことがありました。
そのため、副作用が強く出た場合には患者さんや医療関係者の悩みになっていたのです。分子標的薬は「がん細胞に特有のたんぱく質などを攻撃し、正常な細胞は攻撃しない」という特性を持っており、副作用が少ない薬物療法です。
急性骨髄性白血病(AML)に対しては特に効果的な分子標的薬が開発されており、生存率の向上に貢献しています。

化学療法

化学療法は薬物療法の一部です。先に触れた細胞障害性抗がん薬を用いた治療について、「化学療法」と表記することがあります。
抗がん剤などによる副作用を抑えるための治療方法である「支持療法」と対比して使われることもあります。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植は、白血病の患者さんに正常な造血幹細胞を移植し、完治を目指す治療法です。
患者さん本人の正常な造血幹細胞を移植する「自家移植」と、ドナーから造血幹細胞を移植する「同種移植」があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、行う前に慎重な判断が必要です。
いずれの方法でも、移植した後は数ヶ月入院して経過観察・治療が必要となります。術後の生活やお金などに関して、あらかじめ家族や医師と相談しておくことも大切です。

白血病の生存率についてよくある質問

ここまで白血病の症状・治療法・生存率などを紹介しました。ここでは「白血病の生存率」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

白血病で生存率が下がるケースについて教えてください。

甲斐沼 孟(医師)

白血病は速やかに治療を開始することが非常に重要な病気です。初期症状は風邪や貧血といった身近な症状と区別がつきにくく、放置している間に症状が進行し、生存率に悪影響を及ぼす可能性があります。ほかの病気が見つかることもありますので、長引く症状がある場合はできるだけ早く医療機関を受診してください。

白血病の予後について教えてください。

甲斐沼 孟(医師)

白血病の種類によって、治療期間・方法・予後は異なります。例えば慢性骨髄性白血病の場合、早期に治療を開始できた場合は長期生存例も増えました。しかし、急性リンパ性白血病などの場合は、残念ながら予後が悪くなる場合も珍しくありません。個々の治療成績については患者さんの体質や治療薬との相性も関わるため、一概にはいいにくいところです。早期発見・早期治療開始が予後を良好にする確実な手段でしょう。

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