友人は住宅ローンが「500万円」ほど残った状態で定年退職するようです。返済できなくなったらどうなるのでしょうか?

定年退職した後にも、住宅ローンの返済が続いている世帯はいます。
 
とはいえ、定年退職後は現役のときに比べて収入が少なくなる人が多く、場合によっては、預貯金を切り崩して生活している人もいます。現役のときにはさほど負担にならなかった住宅ローンが、家計の負担になってしまうケースも少なくありません。
 
そこで本記事で、住宅ローンが返済できなくなってしまった場合はどうなってしまうのか、返済が難しくなった際にどのように対処していくべきかについて考えてみましょう。

住宅ローンを滞納すると競売にかけられ売られてしまう

住宅ローンが払えずに滞納しており、今後も住宅ローンを返済できる見込みがないときには、最悪の場合、債権者(主にローンの保証会社)が裁判所に申請をして不動産を売却してしまいます。これを、競売(けいばい)といいます。

 

とはいえ、滞納しているからといって、いきなり競売にかけられて売却されるわけではありません。競売までにはプロセスが決まっています。

 

大まかな流れとしては、住宅ローンの滞納が続いていると、ローンを組んだ金融機関から督促状が届きます。そして、督促状が届いている間(おおよそ3ヶ月間)に金融機関への返済がないときには、それまでのように住宅ローンを分割で返済する権利を失ってしまうという流れです。

 

分割で返済できる権利を失うと、住宅ローンの窓口は金融機関から保証会社へと変わってしまいます。その後、債権者の手続きによって、裁判所から「競売開始決定通知」が届くという流れになっています。

 

一連の流れは図表1のとおりになっていますので、確認してみてください。

 

図表1

(出典:一般社団法人全日本任意売却支援協会「競売までのタイムスケジュール」より抜粋)

 

競売を防ぐためにできることとは?

もし住宅ローンの返済ができないことが明確になっているのなら、売却することを考えてもよいでしょう。図表1の左側にある矢印の部分に、「任意売却 可能期間」と書かれています。任意売却とは一般の売却のことで、その物件や地域の相場で売却できる可能性があります。

 

一方、競売になった場合は入札によって最終価格は決まりますが、価格は一般売却の70~80%が目安です。どうせ売却しなければならないのなら、できるだけ高く売却できる任意売却を選んだほうがよいでしょう。

 

しかしながら、滞納している物件なので、自分の一存だけで売却はできません。売却する場合は、債権者に任意売却したいことを申し出て交渉しなければなりません。

 

そして、もっとも大切なことは、住宅ローンが滞納する前に金融機関へ相談することです。住宅ローン契約者の年齢や残りの返済期間によっても異なりますが、毎月の返済額を少なくしてもらうことも可能なケースがあります。

 

相談するときには、どのように返済していくのかの返済計画を作成し、今後の収入についても明確に示しておくことが必要です。その他、子どもなどの親族から不足分を援助してもらえないか相談してもよいですし、滞納する前に売却する方法も検討できるのではないでしょうか。

 

関連記事: