育ててくれた恩返しをしたいけど、自宅介護が耐えられそうにない……親の介護を外部に委託することは悪いことではないですよね?

自分を育ててくれた恩があるから、できるだけ自分で親の面倒は見たい、というのは人情です。しかし、時計をもとに戻せない以上、介護する側もされる側も双方が加齢によりできないことが増えていくのも事実。
 
この人情と事実を分かったうえで介護を続けるべきなのか? どこかで外部に委託するべきか? について整理していきます。

自宅で介護されることを望む親と、できなくなる子ども

親御さまと離れて暮らしている人が数ヶ月ぶりに実家へ帰ると、「以前できていたことができなくなっている」と親の状況の変化に気づくかもしれません。しかし、同居している人は、徐々に弱っていく状況を見落としがちです。

 

同時に、介護する側も50代から60代へと年を重ねるうちに、自分自身の加齢もあって介護がおっくうになってしまうこともあります。お互いを熟知しているだけに、本音をぶつけ合って気まずい思いをしたり、「あんな態度をとらなければよかった」といった自己嫌悪に陥ったりすることも増えてきます。

 

介護は人情的に簡単に割り切れるものではありませんが、自分が「限界」と思うところまで抱え込んでしまうと、その後の対応がとても難しくなります。育児の場合は、これまで自分でできなかったことが自分で「できる」ようになりますが、介護の場合には基本的に「できる」ようになることはありません。

 

「まだ大丈夫」と思っているうちから外部委託を検討

介護する側が、外部に委託することを後ろめたく感じるケースを耳にします。親御さまもかたくなに拒否される場合が多く、結局「まだ、持ちこたえられる」ということで自宅介護を継続することになりますが、仮に難色を示したとしても事実をはっきり述べて、まだしっかりしているときから徐々にデイケアなどを利用するべきでしょう。

 

最近では、“老々介護”という言葉もよく聞かれるようになって、介護の現状や困難さについて周知されています。以前ほど、明確な拒否反応は出ないように見受けられます。

 

また年をとっていくほど、新しい環境になじむことが難しくなるので、1日でも早く周りの雰囲気や施設でのルーティーンになじむことが後々のトラブルを防ぐことにつながります。

 

もちろん、このようなサービスを受けるには、介護認定が必要になります。筆者の親がそうでしたが、認知症がかなり進行してから介護認定を受けようとすると、「自分のことを客観的に見られなくなる」「他人にはしっかりした自分を見せたい」という思いが強くなりがちです。

 

そのせいか、「あれもできる」「こんなこともできる」と自分をよりよく見せる傾向が強くなり、こちらの思いが伝わりづらくなることも起こり得ます。

 

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