「ASTとALTを下げるには」どうしたらいい?3つの改善方法を医師が解説!

「ASTとALTを下げるには」どうしたらいい?3つの改善方法を医師が解説!

肝機能の数値、AST(GOT)とALT(GPT)を下げるには?Medical DOC監修医が改善方法や脂肪肝など肝臓病のリスク・基準値ほかを解説します。

≫「心筋梗塞の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

監修医師:
関口 雅則(医師)

浜松医科大学医学部を卒業後、初期臨床研修を終了。その後、大学病院や市中病院で消化器内科医としてのキャリアを積み、現在に至る。内視鏡治療、炎症性腸疾患診療、消化管がんの化学療法を専門としている。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、総合内科専門医。

肝機能の数値、AST(GOT)・ALT(GPT)とは?

AST(GOT)やALT(GPT)は、健康診断や血液検査で肝機能を測る項目として代表的なものです。いずれもトランスアミナーゼという酵素であり、高値の場合には肝機能障害などが疑われます。今回の記事では、AST(GOT)やALT(GPT)が高いと言われた場合に考えられる原因や対策について解説していきます。

肝臓の健康度を測る数値、AST(GOT)・ALT(GPT)とは何?

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)は、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれます。ASTは、アミノ酸の代謝に関与する酵素の一つで、肝臓、心臓、筋肉、腎臓、脳などの組織に広く存在しています。
一方、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)は、GPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)とも呼ばれます。ALTもアミノ酸の代謝に関与する酵素の一つで、主に肝臓に存在しています。
肝臓の細胞が損傷を受けるとASTやALTが血液中に放出されるため、血中のAST、ALT値の高さは肝臓の損傷の程度を示す指標として利用されます。
ALTは肝臓の損傷をより正確に反映します。一方、ASTは肝臓以外の組織にも存在するため、肝臓以外の損傷も反映することがあります。そのため、ASTとALTの比率(AST/ALT比)も肝臓の疾患を診断する際の重要な指標となります。
ASTやALTは低いとどうなるのか、と思うことがあるかもしれません。これらの数値が低ければ肝機能は正常の場合がほとんどです。しかしながら、肝硬変などの病気では、障害を受ける肝細胞がほとんど死滅してしまっているため、ASTやALTは低く出ることもあります。

AST・ALTの検査方法は?

AST・ALTの検査方法は、血液検査によって行われます。

健康診断や肝機能の検査でAST・ALTが高い原因は?

肝機能検査でASTやALTが高い値を示す原因は多岐にわたります。慢性肝炎や肥満による脂肪肝では、ALTが特に高くなることが多いです。一方、肝硬変や肝がん、アルコール性肝障害ではASTがより高くなる傾向が見られます。
その他、ASTは肝臓以外の組織にも存在しているため、筋肉の損傷や筋ジストロフィーなどの筋疾患でも上昇することがあります。また、心筋が損傷を受けると、ASTが血液中に放出されるため、心筋梗塞でもASTが上昇することがあります。

検査でAST・ALTが高いと肝臓が悪い状態?

AST(GOT)とALT(GPT)が検査で高い値を示した場合、肝臓が何らかの理由で損傷を受けている可能性があります。ただし、ASTとALTが高いからといって必ずしも肝臓が重度に悪い状態であるとは限りません。軽度から中程度の上昇であれば、肝臓の炎症や軽度の損傷を示している可能性があります。一方で、これらの数値が非常に高い場合(正常値の数倍以上)は、重度の肝臓疾患や急性の肝障害を示唆することがあります。
結論として、ASTとALTの値だけで肝臓の状態を判断することはできません。他の肝機能検査の結果や、肝臓の疾患に関連する症状やリスク因子(アルコール摂取、肥満、ウイルス性肝炎の感染歴など)も考慮する必要があると言えます。
また、血液検査の直前に激しい筋トレを行うと、筋肉にダメージが加わることでASTが上昇する場合もあります。

検査でAST・ALTの数値が高い人の改善方法・下げる方法は?

それでは、検査でAST・ALTの数値が高い場合に、改善する方法について解説していきます。

食生活を見直す

肝機能は食事の影響を受けることがあります。特に、脂肪肝はASTとALTの数値を上げる原因の一つです。揚げ物やファストフードなどの高脂肪食を控え、野菜や果物、全粒穀物、白身魚などの低脂肪食品を積極的に取り入れましょう。

運動を習慣化する

運動は肝臓の健康を促進し、体重管理にも役立ちます。ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合った運動を定期的に行いましょう。まとまった時間を毎日確保することが難しい場合には、まずは「通勤の際に一駅分歩く」「歩いて買い物にいく」など、日々の生活の中で活動量を増やすような工夫をしてみましょう。

お酒の飲み過ぎをやめる

アルコールは肝臓に負担をかけるため、摂取を控えるか、適量にとどめることが重要です。1日あたり日本酒は1合、ビールなら中びん1本程度までにしておくことが勧められます。検査項目の一つγ-GTPが高値の方はお酒の飲み過ぎが疑われますが、ASTやALTの上昇も伴っている場合にはアルコール性肝炎の可能性もあります。その際は断酒が必要な場合もあります。

関連記事: