「直腸がんの手術方法」はご存知ですか?術後の合併症についても解説!

「直腸がんの手術方法」はご存知ですか?術後の合併症についても解説!

食事の欧米化にともない、日本では大腸がんの発症が増えています。なかでも直腸がんは、排便など私たちの日常生活に関わってくる無視できない病気といえるでしょう。

そこで今回は、直腸がんの手術について外科治療の種類や合併症までをわかりやすく解説しました。

この記事を読めば、手術方法はもちろん手術後の後遺症についても理解することができます。これから直腸がんの手術を受ける方・受けた方は、ぜひ参考にしてください。

≫「大腸がんと直腸がんの違い」はご存知ですか?症状や治療法も解説!【医師監修】

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

直腸がんとは?

直腸は、肛門のすぐ上にある消化管の一部で、大腸を通ってきた便を蓄えておく大切な役割があります。
直腸がんは、直腸の組織内に悪性のがん細胞が認められる病気です。また、直腸がんの初期には症状がほとんどありません。ステージが進むにつれて、以下のような自覚症状が現れます。

血便

貧血

排便習慣の変化

腹痛

体重減少

それぞれ解説しましょう。
「便に出血」を確認したら直腸がんを疑ってください。下痢や便秘など便通の異常となって現れる場合もあります。
ほかにも、腹部の不快感・膨満感・極端な疲労感・原因不明の体重減少などの症状が出たら、なるべく早く検査を受けてください。

直腸がんの手術について

直腸がんの手術には、大きく分けて以下の2種類があります。

直腸切断術

肛門括約筋温存切除術

直腸切断術は、がんのある直腸とともに肛門も切り取ってしまうため、結腸に人工肛門を作る必要があります。
人工肛門には、永久人工肛門と一時的人工肛門があります。肛門ごと切除した場合、人工肛門を永久的に外すことはできません。
門括約筋温存切除術は、肛門括約筋の外側にある筋肉を残すことで排便機能を維持する方法です。
早期がんの場合は、肛門から腫瘍だけを取り除く局所切除が可能なので、排便障害は起こりません。
直腸がんが粘膜下層より深く浸潤している場合は、直腸ごと取り除く直腸切断術が必要になり、排便障害が起こります。

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