直腸がんの手術についてよくある質問
ここまで、直腸がんの手術・術後の合併症などを紹介しました。ここでは、「直腸がんの手術」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
人工肛門は日常生活に支障がありますか?
甲斐沼 孟(医師)
人工肛門を使用しても、日常生活に大きな支障はありません。ただし、永久人工肛門を造設された方は、メンテナンスのため定期的な通院による検査が負担になるかもしれません。また、経済的な支出を支障ととらえる方もいます。そのような場合、申請すれば人工肛門の装具購入に補助が出ます。身体障がい者手帳を取得することで、日常生活用具の給付制度を活用してみてください。
外科治療(手術)が選択されるのはどのようなケースですか?
甲斐沼 孟(医師)
直腸がんの進行によっては、開腹手術や人工肛門が必要な外科治療が必要になるケースがあります。早期がんが直腸粘膜にある場合は、内視鏡による切除治療が選択されるでしょう。内視鏡下手術が難しい場合は、肛門からの切除が可能なこともあります。転移が見られる場合は、手術だけではなく化学療法や放射線療法を行うこともあります。直腸周辺には排尿・排便・性機能などの神経が集中しているため、なるべく傷つけない方法を検討してください。
編集部まとめ
今回は、直腸がんの手術と合併症などについて解説しました。直腸がんの5年生存率は全国平均約20%と高く、大腸がんは女性に多いがん死の原因となっています。
直腸がんの手術は、大きく切除すれば治りはよいのですが、体のダメージも大きくなり後遺症に苦しむことになるでしょう。切る範囲を小さくすると根治性に不安が残るかもしれません。
根治性を追求して治りを良くするのか、術後のQOL(生活の質)を優先するのか、手術するにもバランスが大切になってきます。
直腸がんの早期発見・早期治療のためには、検便(便潜血)や内視鏡を使った定期健診が欠かせません。運動不足・野菜不足・肥満・飲酒など生活習慣上のリスク要因を見直してください。
配信: Medical DOC